2011/12/30

誰が為のアルゴリズム

2011年の総括ブログがたくさん上がってきたのに触発されて、今年9本目のエントリーを書こうと思います。わかりやすい記事を書こうとすると筆が進まないので、誰が理解できんだよ的エントリーを連発してやろうかと思っている今日この頃です。

さて。2011年は兎にも角にも自分でも信じられない勢いで自社DSPが浸透したことに尽きます。創業以来最大の出来事じゃないかと思います。アドネットワークからDSPへの移行の中でアルゴリズムを作っている人間として思うところは、DSPではアルゴリズムが競争力となり、顧客の為のアルゴリズムが自社にも強烈に跳ね返ってくるという、至極あたりまえの世界になったことがなりよりうれしく。

アドネットワークにおけるアルゴリズムには、大きく分けて二つあります。ターゲティングのアルゴリズムとアドネットワーク事業者としての収益を最大化させるアルゴリズムです。ターゲティングのアルゴリズムは、誰にどの広告を配信するかを決めるオーディエンスターゲティングやどういったコンテンツに広告を配信するかを決めるコンテンツ連動型広告といったものがあります。これらのアルゴリズムの目的は、広告主にとって広告効果を高めることにあります。マーケティングプロモーションの世界の考え方です。

一方、アドネットワーク事業者の収益を最大化させるためのアルゴリズムの目的は、仕入値と売値が大きく異なるアドネットワーク事業者が卸売業としての利益を最大化することにあります。一般的な金融の世界の考え方のアービトラージモデルです。マイクロアドでは、このアルゴリズムはほぼ無いに等しいのですが、成功したアドネットワーク事業者はこのアルゴリズムが中心になっているでしょう。(テキスト広告の場合はほとんどがレベニューシェアモデルのため今回の話は別件。バナーの世界のお話。)

ではDSPは?DSPはRTB仕入れでCPM販売だという前提のもとで話を進めます。 まず、仕入値と売値の差額はマージン率で設定されるため、DSP事業者としては自社の流通総額を最大化することが収益の最大化になります。つまり、顧客をとにかく増やし、満足してもらえる広告配信を行う必要がある。そのためにターゲティングのアルゴリズムを使う。そして、顧客のためにできる限りインプレッションを安く仕入れられるようなアルゴリズムを使う。DSP事業者が自社の収益を最大化するためのアルゴリズムはいらない。顧客のために最善を尽くすことが自社の収益になるという、あたり前の世界がようやく。

アドエクスチェンジの国はアドネットワークの国とは違って政治の無いオープンに接続されたドライな世界。アルゴリズムで適切に値付けした者が勝ち。アドネットワークで重要だったのは、豊富な広告在庫を生み出す仕組みや営業の仕組みで、アルゴリズムは助演だった。アルゴリズムは重要なのだけれど、本当に勝負を分けているのはアルゴリズムでは無かった。ところが、RTBのDSPではアルゴリズムが主演になった。

数百数千社の膨大な広告主が、それぞれに満足する絞り込まれたターゲティングをかけながらインプレッション争奪競争を24時間365日繰り広げる。これで媒体収益が上がらないはずもなく。単一アドネットワークとは比較にならないほど。

2012年はメディアの純広が進化し、アドネットワークには出稿していなかった広告主がDSPを通じて出稿するようになり、スマホのRTBがはじまる。これまでいろんな業界で破壊的イノベーションによって企業の浮沈やパラダイムシフトを他人行儀に眺めてきたけれど、僕らの世界にもRTBというガチの破壊的イノベーションがやってきたようです。きっと来年の今頃は、数年前の業務を思い出しては自分たちのやっていたことに恥ずかしくなっちゃうに違いありません。ボクが白シャツをINしていた頃を思い出す時のように。


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2011/11/07

ad:tech Tokyo 2011の資料をアップしました

先日行いました、ad:tech Tokyo 2011でのMicroAdによるワークショップの資料をアップロードしました。
自らの過去のビジネスをも切って捨てることが許されてしまうこの社風。
これがベンチャーのいいとこです。変なしがらみが無いからね。


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2011/10/21

今年もやりますad:techワークショップ

昨年ご好評いただきました、ad:tech Tokyoでのワークショップですが、今年もやります

昨年は来るべく未来に備え、アドエクスチェンジ生態系の各プレーヤーの役割を紹介しましたが、今年はそのあたりはもう周知のこととなったので、今回は毛色を変えてやる予定です。(まだ一枚もスライドができていないというこの現実からの逃避的投稿。)

広告枠からオーディエンスデータへ。
広告メニューからRTBへ。
アドネットワークからDSP・SSPへ。
メディアプランニングはロボットへ。

そんな変化について、お話しできればと。


アドテック東京 ワークショップ
http://www.adtech-tokyo.com/ja/exhibitor/work.html
 
10月27日(木) 16:00-16:40
Workshop B
株式会社マイクロアド 
DSPによるディスプレイ広告のパラダイムシフト

"広告メニューの時代"は終わりを告げようとしています。ディスプレイ広告の主役の座は、オーディエンスデータを自在に活用してターゲティング配信を行うDSPへ。
DSPを活用すれば、リスティング広告のようにディスプレイ広告への入札・運用が可能に。
いよいよ日本でも本格的普及期に突入したアドエクスチェンジからのメディアバイイング手法と、そのパラダイムシフトをわかりやすく解説します。 
 もちろん無料パスでOK!!

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2011/09/17

プライベートエクスチェンジとは

《連載》ネット広告エコシステム
第一回:Ad Exchange(アドエクスチェンジ)とは
第二回:DSP(Demand-Side Platform)とは
第三回:Yield Optimizationとは
第四回:RTB(Real-Time Bidding)とは
第五回:Data Exchanger(データエクスチェンジャー)とは
第六回:プライベートエクスチェンジとは

アドエクスチェンジ系の話題がグイグイ来ております今日この頃、一年ぶりに連載記事。まだ終わっちゃいねぇんダゼ!

本日はプライベートエクスチェンジ(Private Exchange, Private Marketplace)についてですが、重いペンをとったのも大御所Google氏がプライベートエクスチェンジの機能をリリース(英文)したためです。

83692761_73a3fd55c3_mそもそもプライベートエクスチェンジとは、メディア側がアドエクスチェンジへプレミアムな広告枠のインプレッションを流しやすくするためのものです。一般のアドエクスチェンジでは販売価格は市場原理に任せる訳ですが、アドエクスチェンジに流すことで(1)価格が下落する恐れがある (2)純広告の販売に悪影響が出る恐れがある といった懸念がありました。それを解決します。本日Googleがリリースした"Ad Exchange Direct Deals"はメディアと広告主(代理店)が事前に人間同士で価格交渉を行い、価格を決定するものです。がっちり価格を決めうちするのではなく、限られた入札者にだけ入札を許し、それぞれに最低入札単価を決められる機能も同様にプライベートエクスチェンジです。オークションでも固定価格でもプライベートエクスチェンジ。さらに申込書のやり取りなどの業務もDSPやエージェンシートレーディングデスクで完了するので無駄な業務を省けるし、事前の掲載可否が行えるといったメディア側にとって多くのメリットのあるものです。

いやはやDSPというのは大変ドライなもので、コンバージョンにつながる確率などでインプレッションの価格を決めてしまいます。蓮舫さんを想像していただければと思います。アルゴリズムベースのDSPによるRTBというのは、東証アローヘッドでのアルゴリズム取引と同じです。流れてくるニュースや値動きなどをロボットが読み込み、瞬時に株式などを売買します。ちなみにDSPも証券取引も、経験と勘はアルゴリズム化されています。

ということで、どれだけ純広告の価格が高くても、どれだけ代理店&広告主にとって高い広告枠ブランド力を持っていたとしても、広告効果でドライに査定されてしまう。また、純広告で販売されている広告枠がアドエクスチェンジでも購入できるならば、多くの広告主はアドエクスチェンジから購入したがる。広告メニューというバルクではなく、広告主が思い通りにターゲティングしたオーディエンスがその枠を訪問したインプレッションだけを買うことができ、しかもCPMが安価かもしれないからです。必然的に、純広告が売れる枠は空き枠が出てもアドエクスチェンジへは流さず自社広告を流し、これまでアドネットワークに流していた枠がアドエクスチェンジへと流れるという構造になりがちでした。

それに対するソリューションとしては、匿名でアドエクスチェンジ上で販売する手法があります。DSP側から見ると、枠が暗号になっています。たとえば、Lady.jpという女性向けメジャーポータルのファーストビュー内レクタングルが仮にあったら、DSPからは枠情報は「fwaw3efhae(300x250)」のようにしか見えない。だから、広告配信後の結果勝負。でも、本当はプレミアムな枠なのに純広告とのカニバリゼーションのために匿名にすることでメディアのブランド力も削ぎ落され、CPAだけの世界で査定されるなんて我慢ならねぇ!と。そして生まれたのがプライベートエクスチェンジ。限られた広告主(代理店)にだけ入札や交渉が許されます。人間による人間臭い交渉の結果、RTBというデジタル信号を通じて猛烈に売買は執行されるわけです。

実に合理的でデジタル的なRTBによるDSP・アドエクスチェンジ間の売買という世界ですが、デジタル合理世界とは相容れないもう一つの世界があります。そこにRTBという文明の利器を導入するため生まれたのがプライベートエクスチェンジ。本質はRTBにあります。広告主が各々ターゲティングできるインプレッションだけを仕入れることができることにあります。RTBは「1インプレッション単位で入札額を」と説明され入札額がフォーカスされがちだけど、自由にユーザーを選別できるというメリットの方が実は大きい。個人的にはこっちの方が断然大きいと思っている。いや、わかっている人はみんなわかってると思う。説明が面倒なだけだ。

4470004722_5d0404c74d_m同じメディア・同じ枠のインプレッションでも、広告主ごとに欲しいインプレッションは違う。見ているユーザーは全然違うからだ。メディア側からはRTBはインプレッションをつまみ食いされるのではないかと心配される。ただ、猛烈なつまみ食いデマンド(需要)が存在しているとしたらどうだろう。

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2011/08/22

DSPとカメラ

最近、デジタル一眼のカメラを購入しました。今年から始めたダイビングは完全にハマりまして、その延長には当然水中写真があるわけです。余生は南の島に住んで水中写真家としてのんびり暮らそうと考えています。

なんてことを書きたいはずもなく。
職業柄、カメラを知るにつれどうしてもDSPのことが頭に浮かんでしまって不可ません。良い写真が撮りたいという欲求よりも、そのカメラ開発者の設計の方に興味が行くのです。ええ、病気です。DSP病患者がカメラを見るとどう映るのか、その症状をご紹介します。

写真を撮る場合、目標物を決め、ズームレンズでどういう構図で切り取るのかからはじまります。DSPではアカウント構成を事前に考え、目標CPAや目標ROIなどを設定し、バナークリエイティブ&ランディングページを設定します。
これらは人間のみ為せる業、機械には判断できません。そして、ここをミスると機械には手の施しようがありません。センスってやつです。

ここからが様々なパラメータ調整の必要となるところ。入ってくる光の量を調節する絞りはターゲティング、シャッタースピードは配信スピードと言える。これらはトレードオフの関係にあって、 ターゲティングを絞りすぎると配信スピードが遅くなるし、ターゲティングを拡げすぎるとオーディエンスターゲティングもピンボケさ。光のセンサーは広告主サイト訪問者の分析(プロファイリング)。同じ対象物を見ても、センサー会社によって出てくる分析結果は違う。
F値は解析マシン速度。となればファインダーは分析・管理画面かしら。各種の結果を画面を見ながら人間がコントロールする。しかも結果はすぐに確認できるから高速PDCAサイクルね。ISO感度はフリークエンシー?

と、写真についてかじったことの無い方にはさっぱり理解できない例えで説明しましたが、カメラのシャッターボタンを半押しして撮影するまでの瞬間に、カメラ内部でこれらのパラメータをほぼ瞬時に最適化して美しい写真ができあがるってわけです。構図の中の明るさや対象との距離などからロボットが計算します。そして、個人的に気になるのは「夕陽モード」のようなシーン別最適モードがあったりするのだけれど、これがどういう風な補正ロジックになっているのかというところ。確かにきれいに撮影できるし、パラメータをどう動かせば良いのかはわかるけれど、どの程度動か(中略)だよな。もっと言えば、夕陽を写そうとしていると自動認識して夕陽モードが自動的に適用されればいいんだけど。DSPで言えば、広告主のプロモーション目的を自動的に判別して最適なモードを選択するようなフルオートDSP、たとえばブランディング目的だったら掲載メディアやリーチを重視するような。

さて、ひとつ重要なポイントを忘れていました。RTBと非RTBをどう表現するのかと。RTBはデジタル一眼、非RTBはフィルムカメラと説く。理由は無い。なんとなく細かいつぶつぶのデジタルな感じ。

で、この記事は何かって?カオスマップのロゴには、デジタル一眼もコンパクトデジカメも『写ルンです』も同列に並んでるってことさ。


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