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2008/04

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この木村カエラの曲、元BoATのASEさんプロデュースじゃなかったら盗作でぶっ殺しだべ。いやあきらかにASEさんだべ。ギターとベースがたまらん。

『広告批評』休刊にして思ふこと。

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b0923453.jpg 雑誌『広告批評』が休刊に。

人生をも大きく左右した雑誌が、来年、なくなってしまいます。

高校生1年生の正月、キューピーハーフのCM、そしてPARCOのCMを見て、全身に衝撃を受けた。立て続けに新しい世界を見せられ、「広告やろう。」と思ったのでした。

その想いを強く強くしていってくれたのが『広告批評』でした。いろんなことを教えてくれました。キューピーハーフのCMの、研ぎすまされたコピーは秋山晶さんというベテランコピーライターが書き、一瞬にしてブラウン管への意識を集中させる映像はライトパブリシティという制作会社が作っているらしい、と。PARCOのCMは(今では誰もが知っている)佐藤可士和さんというクリエイターが作り、彼は大貫卓也さんという人に大いに影響を受けた人である、と。

広告クリエイティブ界には、たくさんのスターがいた。みんながGLAYやL'arcに夢中になってた頃、俺は30秒の佐藤可士和作品をVHSで1/16速のスローモーションで必死でリプレイしてた。そのうち、強いCMなら見ただけでどの会社のどのディレクターが作ったのかはかなり当てられるくらいになった。お金が無いから『広告批評』は毎号図書館で借りてたんだけど。

大学は広告とマーケティングを学ぶために商学部に入り、広告とマーケティングの授業をたくさん受けた。だけど就職活動の頃、電通や博報堂は、調べれば調べるほど入りたくなくなった。「結局入っても営業か。」で、一旦は電電公社に入ってしまうのだけれど、広告への想いが捨てきれず、今のネット広告会社にいるってわけです。(就職活動の時、なぜか一社だけ食品会社を受けた。キューピー株式会社ね。)

今、俺のやっている仕事は、広告の中でもデータをとにかくつきつめる仕事で、さっきから言っている意味での”クリエイティブ”とは通常相容れない関係にある。今は、 消費者の反応や効果やシチュエーションといったデータを極限までつきつめて、世界最高の広告プラットフォームを作ってやろうという思いでやってますが、いつかはすばらしいクリエイティブの広告が、より適切な人に適切なタイミングで届くような仕組みを作りたい。言い換えれば、「心に響く。」を最大化する仕組みをね。

なんだかおセンチモードになってきましたが、『広告批評』と言えば、カンヌ受賞作品CD-ROM、年間トップテン、毎年8月の戦争特集が思い出される。強烈な印象を残した特集としては、'00.10の「10人のCMディレクター」特集はヤバかった。山内さん中島(哲)さん黒田さんとかがテキトーに喋ってるんだから。「佐藤雅彦研究室」ではSFCに対する猛烈な嫉妬心を抱いた。あの授業を受けられないくやしさ。「佐藤雅彦になりたい。」という、よくわからないことを考えたり。そして特集「佐藤可士和」。このインタビューは、後年の数々のインタビューよりも強烈だった気がする。橋本治のコラムも、まったく共感はできないのだけれど、こういう考え方をする人もいるのだな、と思って参考にしていた。とにかく、広告クリエイティブの歴史は『広告批評』と共に見てきた。

広告クリエイティブが好きだ。それを作った人達が好きだ。

広告クリエイティブは、広告主のお金で、広告主の要望を満たす。その要望という制約条件の中 で、いかに強いインパクトで、いかに広告主のブランドを高め、かつ高いクリエイティビティを出していくか。そこが好きだ。お題、そして答え。芸術家の作品 は好きじゃない。「表現が上手い」よりも「答えが巧い」に圧倒的に惚れる。そこに視覚的な美しさがあればなおさら。

ネットの世界にいるぼくらは、いつもTV・新聞・雑誌・ラジオなどの従来マスメディアと比較され、対決構造をおもしろおかしく書き立てられてきた。現に、従来マスメディアとの対決姿勢を前面に押し出す人も業界内には少なくないし、ネットの方が優れている点は多々あって挙げ出したらきりがない。

だけれども、雑誌、特に専門誌にはもっともっとがんばってもらいたい。優良な情報に対して有料の情報料を支払う。こんな当たり前のことが成り立たないはずがない。流通を含め、今こそ構造改革をしなければ専門雑誌に関わるプレーヤーが、みんな死んでしまう。ネットでは『広告批評』のような高品質なコンテンツは展開できないだろう。少なくとも広告収入では。大貫卓也×佐藤可士和の対談が実現できるんだろうか。

それにしても、なぜ休刊なのか。1冊562円で編集長と内部デザイナーと営業込みで12人。発行部数少ないのかな。広告3誌にテーマを振るならば、『ブレーン』はクリエイティブ、『宣伝会議』は広告ビジネス、そして『広告批評』は社会。最近では後発の『デザインノート』がいい感じの特集を毎号やってますが。今のニーズはもはや『広告批評』には少なかったのかな。

ここで、『広告批評』のウェブ化についての検討を。特集のインタビューなどはウェブでは厳しいことが目に見えているのでカット。ただ、毎月の新広告ラインナップ+制作クレジット+ショートコメントは広告業界ニュースサイトとしての運営ができるのではないか。広告収入で。ニッチポータルはコストをかけず、業界No.1の地位さえ獲得できれば意外といける。動画の許諾が得られたものは動画も掲載。ここは日本での著作・肖像権の動向に大きく左右されるけれど、あの広告ラインナップが1クリックで動画再生できればどれ程有用か。さらに検索機能を備えれば有料でも使いたい。日経テレコンのようにね。『広告批評』が社会に合わせて変容していったら、最高におもしろいよね。

この写真は、我が家の『広告批評』ライブラリー。残念ながら、学生の頃に引っ越す際に、重要な刊を残して捨ててしまった。残りの『広告批評』は、まだまだ捨てられない。

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