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2008/12

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今年も残すところ2時間を切りましたが、テレビを見てらんないので、ベタに俺的2008年五大事件を酔っ払いながらお届けします。とりあえず大晦日の格闘技は減ってよかった。

(1)ウォール街の崩壊
ウォール街を支えてきた金融工学を、まさに勉強している最中にとんでもないことが起こったもんだから、この衝撃は皆様以上のものでございます。世界中の叡智が結集すると、限界を超えてしまって、過去の経験からは予想できないことが起こるだなぁ。まさにバベルの塔で、世界が米一極から、多極になる転換の年なのかもね、数十年レベルのタームで後年振り返っても。
ただ、金融工学自体は悪ではないはず。無茶をしなければ誰もがハッピーになれる知恵であるはず。ダンボール入りのハンバーグが広く出回ってしまったからいけない。おいしくて健康を害さない、安いハンバーグはすばらしい。

(2)新世代スマートフォンの登場
というかiPhone 3Gの登場です。完全に世界が変わりました。日本で売れてないとかいう議論はどうでもいい。タッチパネルが押しやすいか押しにくいかとかいう議論はもっとどうでもいい。
来年からはAndroidの動きにも注目。

(3)日経平均一時7000円割れ、1ドル90円超え
常識ってもんを超えた瞬間。高倉健がハッスルに参戦するくらいの衝撃。保有銘柄の中心が輸出銘柄だったもんで、個人的にも結構痛手は受けました。日経平均やドルの"平時"っていくらなんだろう?と考える大晦日。
マスコミや評論家も上半期はあれだけ日本沈没といってたのに、何事も無かったかのように米国批判に走るあたり、おもしろいっすね。手のひらを返したように日本はすばらしいと口々に。

(4)MicrosoftによるYahoo!買収騒動、GoogleとYahoo!の提携画策
沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらわす。どんなに栄華を極めていても、次の時代を読み、果敢に舵を切らねばならない。そして経営者の責任も痛感した一年でした。

(5)あおいちゃんがかわいい
今年のかわいさは尋常でない。これは事件だ。

ということで、良いお年を。

読み終わった本というモノ

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donadona_booksサザエさん的年中行事をほとんどやらないわたくしですけれども、大掃除だけはやります。

今年、ブックオフという天道かちり紙の畜生道、果たまた火の燃えさかる地獄道へ突き落とされる、輪廻の世界を漂うのは彼ら。本のフローが年々加速してます。

これは、確実にインターネットに影響されてる。インターネット的世界になると、情報量は公文塾の世界から天文学の世界へといざなわれるわけで(量の問題)。また、情報はすぐ陳腐化するもんで、古い本の大半は役に立たない(スピードの問題)。読んだ本をとっておくことは、もうデメリットの方が確実に大きくなってきてる。iTunesとiPodによって、CDがむしろ邪魔になってきてるように。物理的問題はもちろんのこと、検索性が重要になる、爆発後は(iPodはこの問題を完璧なまでに解決した)。で、本をとっておいても、なにより「あれを本でもう一度調べよう」なんて思うことは現実ほとんど無いわけで、いままで27年生きてきた経験則からは。パラパラとめくるという、あれはイマジネーションにとっては良いのだけど。

おそらく数年後には日本の出版界もGoogle Book Searchの適用範囲を広げていくでしょう。ということで、今年はひときわばっさりと捨てた。「本」というのはコンテンツにとっての一形態でしかないわけで、紙にとどめておくことの方がかわいそうなことなのです本当のあるべき姿は、コンテンツに対して対価を支払うべきなのにね。

たとえば、書籍は3,000円でデジタルだと2,000円。書籍を購入した場合はデジタルの無料閲覧権がもらえる。で、本は最初に全文を読むためのものになり、デジタルは部分を調べたり検索から呼び出されるためのものになる。本は古本が当然のように流通するようになり、古本でももちろん出版社へコンテンツ料が支払われる。これが、既存の枠組みを想定せずに、フラットに考えた理想像だと思うんだけど、これいかに。あくまでも、「本が滅びる」と狂言を言ってるんではなく、役割による棲み分けができるようになればより世界がすばらしいのになぁ、ということデス。

大掃除してたら、昔の大学のノートが出てきた。昔はつまらなかったことが、今読み返すとこんなにおもしろい。しかも、やはり大学でやっている内容は不変的なことが多い。やっぱ大学は社会人になった後でいくべきだってな話はまた別の機会に。。

日本の図書館がすべてスキャンされるのはいつの頃だろうか。

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DACとビットワレットがEdyによるマーケティング事業を展開するLLP設立(PDF)

というニュースを見て、いよいよ異業種連携の胎動が見えてきたなぁと面白く。つまりはEdyユーザー個々に対して適した広告を配信したり、ユーザーデータを企業のマーケティングに活かしたりする事業の検討をはじめると。で、まぁここはきっとうまくはいかないと思うんだけど、俺がずっと気になってる企業が株式会社Tカード&マーケティング。TSUTAYAのTカードを発行管理している会社。

EdyにもTカードにも共通して、異業種横断での購買履歴はめちゃくちゃ有用なことに間違いない。あるお店だけのポイントカードのデータとか、コンビニだけのデータは、その人をよく知れないからあまり有用じゃない。だけど、TカードはレンタルCD/DVDも古本もよく行くガソリンスタンドも居酒屋もカラオケもスポーツショップもスーツも引っ越しもホテルも知ってる。どこまでのデータが使えるかはわからないけど、ひとつのIDでぜんぶつながってるはず。

統計処理すれば、俺が宮崎あおいを好きな確率は99%であり、次に公開となる映画『少年メリケンサック』を渋谷近辺の映画館に見に行く確率は75%である、というくらいのデータは導き出せるはずなのに、何のアプローチもしてこない。残念です。ある程度近くの映画館から300円値引きチケットがあれば、少し遠くてもその映画館へ行くのに。好きになってもらうための広告ツールではなく、競合他社から潜在顧客を奪ってくるための"スイッチャー"ツールとして。販促として5円÷1%=500円/人はできないけど100円÷30%=333円/人はできる。

なぜEdyじゃうまくいかなくてTカードがうまくいくと思うのかと。まずプッシュでアプローチできる個人情報、つまりはメルアドと住所をTカードは必ず持ってる。Edyの多くは収集できていないはず。特にTSUTAYA会員は半額メールを受け取る為に、相当にポジティブにケータイメール受信を許可している。さらにはクレジット会員には毎月明細書を送付しているから、チラシを同封できる。果てはTSUTAYAというリアル窓口があるから、モノが存在するものでも授受しやすい、配送網は無さそうだけど。

ビジネススキームとしても。Edyは手数料を支払うもんだから、加盟店は大きくは広がらない。Tカードは、ポイントプラットフォームを貸し出すものであり、もちっと広がりやすいし、ユーザーメリットもポイントなので大きい。(Edyがユーザーへ与えるのは利便性だけ)

また、電子マネーは数万円の高額商品には使われないから購買履歴に偏りが出てしまう。ポイントは高額なほど大きくなるから、積極的に使う。マーケティングに有用なのは、一般的に高額商品。

今後、TSUTAYAディスカスやネット配信がさらに普及すれば、家の中もひとつのレコメンドチャネルに。VISA/MASTERではできないことが、できる立場にあるのがTカード。企業に対してマーケティングデータを提供するプル型データ活用だけじゃなく、プッシュでマーケティングを行って、アグレッシブに攻めればいいのに。広告を情報として届けられる、数少ない立場にあるのに。

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懐かしすぎる。あのDelawareが、なんと楽曲をiPhoneのアプリとして公開。iTunesでの配信じゃなくて、アプリで。これにはびっくり。まずは↑のデモを見るべし。

アプリ状のレコードをぐりぐりやると、DJ風にぐりぐりと。ニクいのが、A面とB面のチェンジが、iPhoneを裏返す動作で行うってとこ。たまらん。

まぁほとんどの方がDelawareを知らないと思うので一応説明しとくと、音楽的にはNEW WAVEとカテゴライズされることが多いであろう、結構歴史の古いユニットであり、俺は大学生の頃にNEW WAVEにドハマリしてたので、たまに聴いてましたですね。さらにNEW WAVEって何よって言われると説明もめんどいので端折ると、パンクにぶっ壊しつつシンセ、以上。

ライブパフォーマンスや衣装が奇抜なNEW WAVE系の中でもへんてこさの際立ってたDelaware。当時のホームページが衝撃的でしたですね。なんかゲームみたいな感じだった気がして、当時Web制作少年だった俺は結構まねした記憶が。

まぁ当時からもそうなんだけども、Delawareの音楽は聴いてて気持ちの良いものではないんだけど、今回のアプリにはやられました。参った。にしても、もうPOLYSICSくらいしか残ってないなぁ。当時のメンツは。つってもPOLYは早々にNEW WAVEじゃなくなってたけど。

Delawareを聴いておっつって思った人はPlasticsがオススメ。
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アーティスト:Plastics
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:1993-11-21
おすすめ度:5.0
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ちょうど俺が産まれる頃くらいに活躍してたひとたち。ほとんどのメンバーは音楽が本業ではなくて、デザイナーだったりっていう適当さと、適当な楽曲がステキング。その中の一人、佐久間正英氏はのちにジュディマリやGLAYをプロデュースして大成するのがまたおもしろいとこ。今でいうとヤスタカ氏と佐藤可士和氏と箭内さんとクドカンがバンドやるみたいな。羞恥心とかも嫌いじゃないんだけど、退化よりは前のめりにブチ切れる方が進化を産む気がしとるわけで。

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ほんとくだらないこと考えてたら眠れなくなった。

今ちまたで話題のCDSについて考えてたら、ぽわっと『人間クレジットデフォルトスワップ』という言葉が浮かんできて。

つまり、社員Aが退職したり死んでしまったりする会社にとってのリスクを、他の社員が肩代わりするというもの。社員AのHCDSを購入した社員Bは、現金化可能なポイントを会社から毎月受け取る。ただし、社員Aが退職した際には社員Aの年収が比例されて給与天引きとなる。だから、社員AのHCDSを保有している社員Bは、辞めそうな社員Aを必死で慰留する職場環境がよくなるエコシステム(買い手が債務者に直接関与する場合は、CDSとは呼ばないようだが、まぁ気にせず)

価格は、辞めそうな社員ほど安価になる。たくさんの社員に分散投資しておけば、普通は儲かる。一斉退職しない限りは。っつか、一斉退職の気配によって、給与が激減する従業員の確率が高まり、結果全員が辞めることになる。

アメリカンジョークです。

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#追記:オススメ本がどっちの内容かわかんなくなったので、両方載っけました

橋下大阪府知事による小中高校生のケータイ持ち込み禁止令のマスコミ報道を見ていて、『ケータイの利用時間が長い学生ほど、学習時間が短い』というデータの扱いについてちょっと気になる。

確かにこのデータ自体には問題は無いのだろうけれども、相関と因果関係を混同して報道されてないか。きっと、勉強したくない子の多くはケータイをずっといじくってる、という相関性はあるにせよ、ケータイするから勉強しない、という因果ではないんじゃないかと。(誤解を恐れずに言えば、因果は「→(矢印)」を付けられるけど、相関は付けられない)

弁護士先生やデータを専門に扱う人間がこんな単純な論理の問題に気づかぬはずもないので、マスコミがかいつまんで引用した結果だとは思うのだけれども、データというのはいろんな風に使えるわけです。データの出し方からグラフのデザインまで、人間を錯覚させることなど結構簡単であり、俺もしばしば騙します、てへ

と書いておきながら、俺は禁止にしてもしなくてもどっちでもいいと思っているというのも、簡単な論理の問題

ただ、ケータイと勉強時間の因果関係を解くための壮大な実験場として、大阪府は使えるようになるっていう点ではおもしろい。大阪府の禁止校の学生と、他県の学生を、禁止前後でモニタリングしていけば、答えが出るこんな話をもっと知りたければ↓がオススメ。別に統計の勉強にはなんないけどね。

ヤバい経済学 [増補改訂版]ヤバい経済学 [増補改訂版]
著者:スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー
販売元:東洋経済新報社
発売日:2007-04-27
おすすめ度:4.5
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その数学が戦略を決めるその数学が戦略を決める
著者:イアン・エアーズ
販売元:文藝春秋
発売日:2007-11-29
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国立新美術館とサントリー美術館で同時開催している『巨匠ピカソ展』に行ってきました。

NYのMoMaでピカソの絵画を観てからというもの、ピカソが気になっていろいろ調べてたんですね実は。国立新美術館の方が有名かつ大型作品が多く、サントリー美術館は自画像を中心とした、ピカソのパーソナルな部分にフォーカスした小規模な展示。両方で4時間では足りないくらい、多くの作品が展示されています。

一般的にはピカソと言えば“変な顔の絵”という印象しか無いかもしれませんが、それは一面に過ぎません。古典的な絵も描けば、彫刻もある。周りでは「わからないねぇ」とかいう声が聞こえてくるけど、別にわかる必要なんてないんじゃないかと思うんだけどね。なんで音楽には意味が求められないのに、絵画は意味がわからないとダメなのか。心に響くものは響くし、響かないものは響かないってことが一番重要な気がするんだが。閑話休題。俺がピカソの作風で最も好きな時代が、いわゆる「キュビスム」の時代。

キュビスムとは、ピカソと友人ブラックによって創り上げられた、複数の視点から見た対象物を一面に収める手法。顔を横から見たものと正面から見たものを鼻のラインで結合させると、よく知られたピカソの絵の顔になるわけです。

まだ一人にしか話してませんが、今俺が進めている仕事には『パブロ計画』と名付けてあります。パブロとはもちろん、パブロ・ピカソから頂戴してます。(とアポロ計画との語感と意味合いを兼ねて)

というのも、キュビスムと俺のやりたいこととは驚く程類似点が発見されたのです。キュビズムは、ひとつの対象を多角度から分析し、分解し、類似するパーツをまとめ、組み合わせ、最も良い配置を行って一面としての作品にする。俺の場合は、データを多角度からマイニングし、クラスター化し、ひもづけ、最適化してひとつの広告枠に広告を掲載する。対象が静物や裸体かデータかの違いだけであって、順序も手法も一緒なのです。ほんとはもっと細かく説明したいけれどもできないし、たぶん数人にしか伝わらないと思うが。。

これからのプロジェクトの進め方を考えている最中、ふとキュビスムのことが浮かんだ瞬間には思わず叫びそうになった。調べれば調べるほど何もかも一致する。どう考えてもこのプロジェクトは『パブロ計画』以外の名前は当てはまらない。


あと、別件ですが以前も一度ご紹介したiPhone 3G Wiki blogの管理人さんが、またすばらしいエントリーをポストされています。
Googleが目指すもの
こういう変化、転換点を着実に読めるようでありたい。ついにアメリカの新聞が死んだ。死にそうなんじゃなくて、死んだ。前から予想されてた通りに。ことIT系の未来に関しては、真実と詭弁の見分けで間違えたことは無い自信はあるのだけれど、年齢を重ねることで変化への対処が鈍くなることは、本当に最近恐怖に感じてます。

この2つの話は俺の中では共通点があるので同じエントリーでかきました。長。

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