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2009/09

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さて、社会人になってから最大の休暇を前に、シルバーウィークど真ん中に出社しておりますけれどもね。来週の今頃は天空都市マチュピチュから下界を眺めている頃かなぁってな妄想も吹っ飛ばしてくれるのがまたまたオムニことことオムニチュア(Omniture)。

omniture and comScore Announce Strategic Partner Relationship to Deliver Unified Digital Audience Measurement Service - comScore
ComScore, Omniture to Swap Audience Data - ClickZ

Webの世界の測定には大きく二種類ある。サイトのアクセス解析と、パネルベースのリサーチ。前者の(大型メディア向け)最大手がオムニチュアで、後者の世界最大手がcomScore(コムスコア)。で、手を結んだと。

サイト解析は、タグを入れたサイトだけ(もしくは自社サーバーのみ)の行動情報を詳細に知ることができる。だけど、知ることができるのは自社サイト内だけの情報。だから、サイト訪問者のデモグラフィック情報はわからないし、自社サイトの訪問ユーザーが外でどんな活動をしているかもわからない。云わば、サイト訪問者がどんな人なのかは、IDを持ったログイン状態の数%のユーザしか把握できない。

一方、パネルベースのリサーチは、世の中のサイトデータを知ることができる。他社サイトのデータも含めて。わかりやすく言うと、ネット視聴率データ。特徴としては、モニタ(=パネル/サンプル)を持っているわけなので、デモグラフィック情報も持っている。性別・年齢・職業・未婚既婚・子供有無・年収・地域などなど(comScore日本は性別・年齢だけだけど)。そのモニタ数ってのは日本ではたかだか数万人で、それでネットユーザー6,000万人の動きを推測している。統計学の検定の世界の話で言うと、これで問題は無い。(ほんとは選挙だって数万人で十分だろう)

で、最近comScoreは自社で集めたモニタと、サイト解析のような外部のデータとの突き合わせをがんばっている(Media Metrix 360)。統計的には問題なくても、いろいろとガヤガヤ煩いし、オーディエンス数が少ないような細かい測定はできないから。また、オムニチュアはGenesisを使っていろんな外部データと突き合わせをがんばっている。そして、利害は一致すると。

これは今回の提携では発表されてない範囲だけれど、将来的にはある程度大規模なサイトであれば、例えば年収700万円以上のユーザーはこのページに来る傾向が強いとか、ここをクリックする確率が高いとか、そういうデータも出せるようになってくるはず。サイト訪問者の膨大なデータと、一部のモニタデータとを一旦結合して比較すればいいわけで、信頼性も高いはず(サイト訪問者を母集団に)。あるいは、サイト内の特定ディレクトリ訪問者が、他にどんなサイトを見るユーザーであるかとか。

アクセス解析やアドサーバなどでデータを横断的に持てるプレーヤーはどんどんユーザーがはっきり見えてくる(define)のだけど、少数ではあるが確実なデモグラ情報と完全な行動履歴を持っているプレーヤーにはかなわない部分が絶対にある。そして"内"と"外"のいいとこを使う。OmnitureとAdobeの組合せとは違って、素敵な組合せですことTSUTAYAのTカードも似た構造で、あるお店の購買者の他のお店での活動情報を提供しつつ、効果的なTカードの販促活動を販売している。

このサービス、すごいんだけど、日本でリリースしても誰も飛びつかないだろな。ニーズも顕在化していないし、マーケットも無いから日本には上陸せず、結局日本はどんどん遅れていって、もうすぐ中国にも抜かれるのだろうなぁ。。GoogleのDoubleClick Ad Exchangeバージョンアップの話もまったく話題になってないし、革命的なのに。。

#Googleが世界中からの非難を受けてでもGoogle AnalyticsとGoogleツールバーとAdSenseとDoubleClickと検索画面の行動を全部サードパーティーcookieにしてくっつけてしまえば、こんな話はどってことないレベルの話なんだけども。BingなんてPCでの検索クエリがモバイルのBTに使われるようなご時世ですから。

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新幹線に乗っているわけですが、新政権発足ものりピーもどうでもよくなるとんでもないニュースが。

Adobe to Acquire Omniture
Adobe to acquire Omniture in a transaction valued at approximately $1.8 billion on a fully diluted equity-value basis.

なんと、アクセス解析のサイトカタリストをはじめとするウェブサイト最適化サービスを提供するオムニチュア(Omniture)が、Photoshop, Illustrator, Flash, PDFでおなじみAdobeに買収されると。個人的に、ここのところ仮想敵を勝手にオムニチュアにしていただけに衝撃。

離婚するのがわかっている芸能人の結婚ような、かわいくてモテていたあの娘が自称プロサーファーとデキ婚した知らせを聞いたような、なんかそんな気分ですね。(知らねぇって)

広告会社でもなく(以前WPPの資本入れたよな?)、アドサーバやアドネットワーク事業者でもなく、IBMやOracleのようなDB・DWHベンダーでもなく、SIerでもなく、なぜにAdobe?きっとどこにも縛られないオープン性を考えてそうなったと思うんだけど、どう考えてもシナジー無いよな。オムニチュアのサービスはサイト制作・管理とは独立して稼動する仕組みになっている。

デパートに例えるなら、オムニチュアは俺がデパートに入ったら1Fに俺好みのテナントが自動的に入るようにするもの(もしくはうまい導線を発見するもの)。Adobeのソフトウェアが手がけるサイト制作・管理は、その建造物をどう作って維持するかっていう話。その2者を統合してデベロッパみたいにさせたいと。仮に閲覧ユーザーごとに建物の構造自体がぐちゃっと作り変わるようなことが実現すれば、唯一無二の存在ではあるけど、そんなものは別に効果的ではない(だろう)わけで。

ビジネスモデルもソフトウェア販売とコンサルコミコミでは全然違うしチャネルも違う。コンサル無ければ無料で使えるGoogle AnalyticsやOptimizerの方が簡単だし。

アドサーバを提供するGoogleやMSとくっつくと嫌だなぁと思ってたので、なんというか安堵感。お疲れオムニ。GoLiveやLiveMotionみたいな出来の悪いソフトを作って(ああ俺は元ユーザーですよ)、結局追いつけなかったからMacromediaごと買っちゃうみたいなAdobeの経営陣は優れているとは思えないし。IBMのSPSS買収以上に衝撃的な、我的2009年最大ニュースになりそうです。

Lift(改善度)を生業とする最適化サービスは儲からないって話をちょうど書こうと思ってたのだけど、びっくり。

つか、新幹線でPC使ってたら吐き気が。

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今回の東京行幸はヘヴィーでした。ウコンの力 6本、Pricelessってことで。

で、今回の東京行幸のメインイベントでもあるad:techですが、正直残念でした。セッションは、今の課題などの話が中心で、3年先を見据えたような話はほとんど無く。あったとしても、抽象的で形而上な話で。あと、展示スペースは小さく、しかもアクセス解析系はオムニチュアのみ、CRM系の展示も無く。以前行かせてもらったNYでのad:techとはちょっと比べものにならないかも。(NYのad:techでは薩英戦争における薩摩藩のような衝撃を俺にもたらしたんだけどなぁ。鎖国?馬鹿言ってんじゃなかとです、と。)

一番残念だったのが、「生活者ごとのタイムライン」についての言及や展示がひとつもなかったところ。ここは絶対にマーケティングが次の世代に突入する時の核となる部分であるはずなので、ひそひそシコシコ作らば。ふぇっふぇっふぇ。まー来年できるっつー話じゃないけど。

もうひとつ、ターゲティングに関して意思表明が何も無かった。行動ターゲティングの未来について、ターゲティングは精度を上げれば上げるほど消化量が落ちるからダメだ、という論理が存在するわけですが、それは間違ってるとこのところ強く思っており。つまり、今後のターゲティングの大きな流れとしては、興味関心が強いものをいかに正確に抽出するかという方向性ではなく、いかに生活者にとって無駄な広告を届けないかのアプローチだと思うわけですね。金融で言う、格付けの高さ(AAA方向)ではなく、低い格付け(B以下)をいかに正確に行うかという方が重要なのですね。任天堂が優良企業だってことは誰にだってわかることで、金融工学のような数学なんて必要ない、けど絶対数が少ないし、それは周知の事実なので利益を生まない。

で、どうすればいいのかと言えば、センサーを見極めてターゲティングする必要がある。ショップの店員さんは、お客さんの服装系統・服飾価格レベル・語調・訛り・会話内容・雰囲気・目つき・顔立ち・肌・背骨・化粧・髪型・持ち物・同行人といったセンサーからその人の人となりを推測して対応する、そんなことと同機能をアドネットワーク上で提供する。それは過去の行動や今閲覧しているページ情報・状況というセンサーから、その人をうっすらと推測する。

現在主流の"第二世代行動ターゲティング"は、人力で「サイトAの音楽のページを閲覧した人は音楽好きです」などと定義して音楽の広告を配信している。「CDショップに入った人は音楽好きです」みたいなこと(え!?)であり、GReeeeNが好きな人もJUSTICEが好きな人も一緒くたになっちゃってたり。分けられてたとしてもJ-POPと洋楽とか。GReeeeNを好きな人は、たぶん「音楽好き」って胸を張って言うほど音楽好きでは無いだろうし、一般に普通な人としかくくれないはず。JUSTICEを好きな人は音楽好きで、サイバーのりPを見ても「普通じゃね?」って思って、ファッションブランドも想像できる18〜29歳くらいだしょう。

これで重要なのは、JUSTICE好きの音楽のセンスだけじゃなくて、うっすらパーソナリティを浮かび上がらすことができるって部分だと思ってて。よく知らんけど、ポルシェみたいなんとか、モンハンとか、初音ミクとか、PRADAとか、まぁいろいろ"センサー"があって、それぞれにその分野のセンサーなんだけど、ひとくくりにされてしまった後の"ゲーム"みたいな分野情報ってのは意味が無い。脳トレとモンハンのユーザーが高確率でかぶるはずがない。

回りくどいですが、JUSTICEを好きな人に対しては、音楽全般の広告を出すのではなく、エレクトロ系で売れ筋の音楽を推薦すべきなのはもちろんのこと、好む系統のファッションや、年収やライフスタイルに見合ったもの、"やんちゃ"な感じのテイストとか、渋谷近辺の24H営業飲食店のクーポンとか、、まぁわかりやすく言えばそういう広告を出すべきで。そんなルールを人間の手でカテゴリカルな世界に落とし込むのは昔のヤフーのサーチャー以上の人間が必要になる上に精度も悪いのでアルゴリズムで処理することになる。

かつ、生活者の興味関心領域が1個ないしは数個でとどまるはずが無い。俺はもうすぐペルーに行き、エレクトロな音楽が好きで、アクション映画が嫌いで、カフェが好き、インテリアが好き、京都と横浜と東京を行き来していて、釣りが好き、、、と限りなく、それを、より興味が深いものだけに絞り込もうとする行為自体おかしなこと(映画より音楽が好きかなんて決めらんねぇしぃ〜)。だから、AudienceScience(旧RevenueScience)やTACODAの延長上には第三世代の行動ターゲティングは存在しないと思っている。つまり、生活者の定義の方向性ではなく、行動自体のアソシエーションルール(協調フィルタリング)的な方向性です。"生活者(消費者)は多様化している"なんてマーケティングの教科書は10年以上前から書いているのに、生活者をカテゴライズする(クラスタリング系の)アプローチなんて!!

ただ、今のところそれを処理する計算能力が足りない。計算機は進化はし続けるのだけれど、アルゴリズム自体を改良しないと絶対ムリ。敏感なセンサーを勝手に見つけ出して、そこを重点的に処理するようなものでなければ追いつかない。たとえばリンゴ・梨・桃の購買履歴はマーケティングに使えないけど、Domani・Zipper・popteenの購買履歴はマーケティングに使えるってことも、ロボットに判断させなきゃらならい。仮にそういったことが実現できれば、あっちゅう間に世の中が変わるはず、です。

ところで、Amazon.co.jpを開くと、「New for You」「自分の欲しいものリスト」「おすすめ商品」「欲しいものからさらにお気に入りを見つける」「●●のベストセラー」「いまもっともクリックされている商品」「ベストセラー」とあって、商品ページには「よく一緒に購入されている商品」「この商品を買った人はこんな商品も買っています」「この商品を見た後に買っているのは?」「リストマニア」とある。これらの違いと狙いとアルゴリズムの根幹、本気で考えたことありますか?ぼくは、全部考えました。そして、広告もこっちだなって思って、上記のような考えに至ってます。このことについては、暇な時にまたタラタラと長文をエントリーしやうと思ひます。

カンバセーションのインターフェース

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眠れない。最近つとに睡眠が乱れぬる。

さて、自分がなぜTwitterをなんとなく受け入れられないのかをちょっと考えてみた。
たぶん、カンバセーショナルメディアでのインターフェースとして違和感を感じてるんじゃないかと。

まず、これが俺にとって違和感の感じてしまう
Twitter



そして、俺にとってしっくりくるカンバセーショナルメディアはこの三つ。

Facebook|News Feed



hero-messages-20090624iPhone|SMS
最初はどうかと思ったけど、実際使ってみたら革命であることに後から気づいた系。これ、普通のケータイメールがこうやって表示されとる。


Google Wave
未公開だけど、デモ見た瞬間に革命だと気づいた系。



まぁ、説明するまでもないんだけど。
こうあるべきなんじゃないかと。

なんか、Twitterって、やっぱギークっぽい気がして。
アメリカではほんとに多様な人々が使い始めているんだろうか?
有名人をROMってるだけではなく、カンバセーショナルなメディアにすでになっているのだろうか?

ちなみに、Twitterに対して批判的なことをいつも書いてますが、疑問なのは、Twitter単体としての企業価値、マネタイズ手法、バズマーケティング、インターフェースなどについてのことであって、ストリーム的なメディアそのものについての批判じゃないデス。

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