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2010/02

RTB(Real-Time Bidding)とは

カテゴリ:
《連載》ネット広告エコシステム
第一回:Ad Exchange(アドエクスチェンジ)とは
第二回:DSP(Demand-Side Platform)とは
第三回:Yield Optimizationとは
第四回:RTB(Real-Time Bidding)とは
第五回:Data Exchanger(データエクスチェンジャー)とは

さて、本日はネット広告エコシステム連載の山場、RTB(Real-Time Bidding; リアルタイム入札)についてです。
※なお、最近の事業者の多くは「我々はリアルタイムだ」と言っていますが、かなりユルい定義のものもありバラバラです。下記の内容は個人的に支持している内容ですのであらかじめ。

これまで枠を媒体から購入する際には、CPMやCPCなどの形態であったわけですが、ここに革命を起こそうとしているのがRTBです。

4075554980_69f2a14103_oRTBは1 impressionに対して入札する方式、もう少し言えばAd ExchangeYield Optimizerの広告枠から発生する1 impressionに対して多数のDSPが入札して競り落とされます。その後ろ側にはアドネットワークも代理店も広告主もいるわけですが。要はディスプレイ広告枠の競りであり、SEMがキーワード単位で入札しているのと同様の世界です。ポイントはいくつかあります。

1. オーディエンスに対して入札される
これまでのディスプレイ広告は基本的に広告枠、つまり面をCPM/CPCで購入していました。行動ターゲティングにおいても、まず面を購入し、その中で一部のユーザーが閲覧した場合に行動ターゲティング広告を配信するわけなので、購入形態はあくまでも面でした。しかも、特にAd Exchangeの面は...(事情により割愛)。

RTBの世界ではオーディエンス(cookie)の方が重要です。cookie=001は$1で入札するけど、cookie=007は$2で入札とか。さらにフリークエンシーも。また、購入する側もBTの信頼できない(プラチナと段ボールが入っているかもしれない)パッケージを購入するより、信頼できるソースや自社のデータソースを使って入札できます。

これによって、さらにデータに基づく最適化を各社がDSPなどで行えるようになります。つまり、透明性が高まり運用性が高まることでROIが高まります。

2. 媒体収益の向上
媒体側にとってもメリットがあります。RTBでは購入意向の強いオーディエンス(in-market)の価格は吊り上がります。これまではイマイチなオーディエンスとごちゃまぜにされてイマイチな単価に落ちてしまっていたものが、細かくなることで、単価の高いユーザーが全体収益を引っ張る構造になります。

一旦頭をゼロベースにして考えれば、広告が効くユーザーなどごく一部であることはすぐにわかります。広告費がそれに最適配分されるだけの話です。私は今WiMAXについて詳しく知りたいなぁと思っているので、WiMAXの広告は1 impressionあたり5円でもペイするかもしれませんが、それ以外だったら0.05円の価値もありません。仮にこの世界だった場合、1impと100impが同じ売り上げってことです。(仮説)

3. 表示速度が早い
RTBはこれまでのアドネットワーク数珠つなぎのリダイレクトに継ぐリダイレクト方式とは違うので、一般的にページ表示速度が高速だと言われています。たくさん問い合わせするのに早いというのは不思議に感じますが、それ専用に根本から設計された仕組みは高速です。

ということで、Demand側(広告主側)もSupply側(媒体側)も閲覧者も全員メリットがあるということです。理論上はどう考えても良いじゃないですか。これが実際に機能するためにはエコシステムが豊かになる必要があります。

そもそもなんでこんな連載をしているかというと、日本のネット広告エコシステムを豊かなものにしたいからです。たくさんのプレーヤーがいなければ革命が起きない。優れた商品を一社が出しても業界は変わらない。幕末のように情報が入ってくることで、いろんな考えの人々が出てきてバラバラに動くカオス状態になるだろうけれど、結果的にそれが膿を出すうねりに変わっていくはず。まぁ倒幕運動です。簡単に言うと、『龍馬伝』に影響を受けているわけです。

ってなことを、幕府の守護・新撰組ゆかりの地、京都は四条大宮よりお届けしました。

B2C3C6A320C0B6BBCBCFBA20C8F5B8FD20CDBFCFBBワシは日本を米国の植民地にはしとうはない!

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大学生の頃は「留学は海外逃亡だ」「高いカネ出して海外旅行に行く奴の気が知れない」「英語なんて死ね」が口癖だったわけですが、あの頃の俺の胸ぐらをつかみたい気持ちでいっぱいです。留学したい気持ちでいっぱいです。英文メールを書いていると新入社員の頃にメールの文章に悩んでいたことが思い出されます。
The next generation of ad serving for online publishers
Breaking Down Barriers to Revenue with the Next Generation of DFP
GoogleがDoubleClick関連のブランドを整理。"DART"という三菱UFJフィナンシャルグループ並に何の略称だかもすでによくわからなってしまった名称が消滅し、DoubleClick for Publisherになって結局DFPのままという匠の仕事。買収前のDoubleClickではないチームが作っていたんではないかと勝手に思っているGoogle Ad managerがDFP small businessと名称変更。機能なんかは基本は前からあったものを改善して見せ方を整理しただけなんだけれど、日本のメディアがものすごくミスリードして報じていたり。米国メディアはほとんど正しく伝えているのに、この差はなにゆえ。

新しいところとしてはAPIと"dynamic allocation"と呼ぶ機能。アドサーバもAd Exchangeも、本気でやるならAPI抜きには仕事できない世界。某社の複雑怪奇な管理画面よりもかなりすっきりしていて一画面で基本収まるっぽいからマシだけれども、大変。そしてこんな領域もオープン化なのだなぁと感慨にふけりぬる。エコシステム。

方向性としてはYield Optimizerと同じ感じで、その生態系を侵す方向性とも(もともとガチな部分も多いですが)。米国の65以上のアドネットワークが枠への入札をリアルタイム(RTB; Real-time Bidding)に行います。RTBについては次回の記事ネタを予定。"dynamic allocation"は純広などのCPMとAd Exchangeからの広告を比較して高い場合にのみ受け入れる最低CPMのことです。Yes, ノーリスク。

他、オプティマイズ機能もあるんだけど、媒体内×広告主だけで最適化って一体何を?と思うのだけれど。本当に機能するのか?という意味で。地域とフリークエンシーとかくらいしか効きそうな変数が思いつかない。

ということで、どれも競合がやっていることの後追いで、何ら新しいことは無いと思われ。でも、あたりまえのことをあたりまえにやっただけでこれほどニュースになるというのはやっぱりすごい資産だなぁと思いました。ちなみに、日本での提供予定は知りません。というオチで〆

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