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エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
★★★☆☆


電力の世界を変えるとして、市場関係者から賞賛の的であったエンロンの創業から崩壊までを追ったドキュメンタリー。

最近、急成長する企業に並々ならぬ興味を持っています。というのも、急成長の陰には必ず負の側面があるから。その最たる例がエンロンかもしれません。

興味深いポイントがこれ。「社員を投票によってランク付けする。その結果成績の悪かった社員はクビにする。毎年15%の社員が去る。」という下り。組織や人間はそういうものじゃないよね。結局すべての世界は2:8だし、2:8を底上げせねば。

世界中から集まったエリートが完全にモラルを失った行為に狂喜乱舞し、その裏で幹部は企業の死を悟り株を売り抜ける。電力の実権を握る、つまり神になった状態で、インビジブルハンドを動かす。本当にもう最低としか言いようがない。

映像の作り方としては完全に悪意に満ちているのですべてを信じることはできないけれど、事実としてこれらがあったことは間違いないでしょ。映画として言えば、NHKスペシャルで本気を出した時には及ばないくらいだと思うけど。

株価を吊り上げ、実態をなんとか追いつかせようという手法は、日本企業で言えば完全にライブドアにリンクするのだけれど、その違いは踊った人にあるのかもしれない。ライブドアが上層部だけが踊ったのに対して、エンロンは社員も踊り、そして「エンロンで働いている誇り」という名の慢心があったように思われる。

「次のエンロンは?」と言われれば、もうあの企業しか浮かばない。共通項があまりに多すぎる。今、世界中から賞賛を浴びているあの企業も、エンロン化する危険性を常に持っている。

IT系企業の経営者の方には是非見てほしい作品。市場に対して嘘をつくことがどういうことか。自社が滅ぶだけではない、チェルノブイリのようにその影響範囲はあまりに広い。