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DACとビットワレットがEdyによるマーケティング事業を展開するLLP設立(PDF)

というニュースを見て、いよいよ異業種連携の胎動が見えてきたなぁと面白く。つまりはEdyユーザー個々に対して適した広告を配信したり、ユーザーデータを企業のマーケティングに活かしたりする事業の検討をはじめると。で、まぁここはきっとうまくはいかないと思うんだけど、俺がずっと気になってる企業が株式会社Tカード&マーケティング。TSUTAYAのTカードを発行管理している会社。

EdyにもTカードにも共通して、異業種横断での購買履歴はめちゃくちゃ有用なことに間違いない。あるお店だけのポイントカードのデータとか、コンビニだけのデータは、その人をよく知れないからあまり有用じゃない。だけど、TカードはレンタルCD/DVDも古本もよく行くガソリンスタンドも居酒屋もカラオケもスポーツショップもスーツも引っ越しもホテルも知ってる。どこまでのデータが使えるかはわからないけど、ひとつのIDでぜんぶつながってるはず。

統計処理すれば、俺が宮崎あおいを好きな確率は99%であり、次に公開となる映画『少年メリケンサック』を渋谷近辺の映画館に見に行く確率は75%である、というくらいのデータは導き出せるはずなのに、何のアプローチもしてこない。残念です。ある程度近くの映画館から300円値引きチケットがあれば、少し遠くてもその映画館へ行くのに。好きになってもらうための広告ツールではなく、競合他社から潜在顧客を奪ってくるための"スイッチャー"ツールとして。販促として5円÷1%=500円/人はできないけど100円÷30%=333円/人はできる。

なぜEdyじゃうまくいかなくてTカードがうまくいくと思うのかと。まずプッシュでアプローチできる個人情報、つまりはメルアドと住所をTカードは必ず持ってる。Edyの多くは収集できていないはず。特にTSUTAYA会員は半額メールを受け取る為に、相当にポジティブにケータイメール受信を許可している。さらにはクレジット会員には毎月明細書を送付しているから、チラシを同封できる。果てはTSUTAYAというリアル窓口があるから、モノが存在するものでも授受しやすい、配送網は無さそうだけど。

ビジネススキームとしても。Edyは手数料を支払うもんだから、加盟店は大きくは広がらない。Tカードは、ポイントプラットフォームを貸し出すものであり、もちっと広がりやすいし、ユーザーメリットもポイントなので大きい。(Edyがユーザーへ与えるのは利便性だけ)

また、電子マネーは数万円の高額商品には使われないから購買履歴に偏りが出てしまう。ポイントは高額なほど大きくなるから、積極的に使う。マーケティングに有用なのは、一般的に高額商品。

今後、TSUTAYAディスカスやネット配信がさらに普及すれば、家の中もひとつのレコメンドチャネルに。VISA/MASTERではできないことが、できる立場にあるのがTカード。企業に対してマーケティングデータを提供するプル型データ活用だけじゃなく、プッシュでマーケティングを行って、アグレッシブに攻めればいいのに。広告を情報として届けられる、数少ない立場にあるのに。