2009/05/23

楽天スーパーDBターゲティング広告にまつわるスーパーディープなエトセトラ

風邪をひいたわけですけれども。けっこう流行ってます、普通の風邪。静養中につきこんな美しい青空の中、暇です。

基本的に将来に対する不安というのはほとんど持っていないわけですけれども、唯一漠然とした不安を感じるのが風邪をひいたとき。「深く考えられない」「簡単な問題が解けない」「集中力がなくなる」といった症状が出てくるわけで、脳がすべての仕事をしているともう帰るしかないわけです、いくら時間かけても意味ないし。で、年齢を重ねるごとにきっと常にこういう状態になるのだと思うと、俺はこのままこの道を進んでいて大丈夫なのか、と一抹の不安がよぎったりするわけですね。とはいえ俺にはサムライ道しかないだろうなぁという結論、毎度。

楽天、マーケティングデータベース「楽天スーパーDB」を活用した広告の配信を開始

楽天さんが、「楽天行動ターゲティング」をリニューアルして「楽天スーパーDBターゲティング広告」へ。下記のカテゴリ(データマイニングの世界で言えば「変数」)が加わっています。

◇ターゲティングカテゴリ一覧
(従来より展開)
1、年齢
2、性別
3、地域
4、商品閲覧履歴 

(新しく追加されたカテゴリ)
5、商品購買履歴
6、楽天会員ランク
7、楽天スーパーポイント
8、特性
9、ライフステージ
10、楽天グループ利用履歴
11、年収
12、未既婚
13、住居形態
14、保有携帯キャリア


4月頃にリリースされていた内容と変わっていなければ、これらのカテゴリは人間が手動で選択するものです。たとえば、「花」カテゴリを閲覧した壮年女性に配信します、といった感じで。

一方、データマイニング側からのアプローチを行っている行動ターゲティングでは、これらのカテゴリの選定はアルゴリズム(ロボット・人工知能)が行います。データに基づいて、カテゴリ間の膨大な組み合わせの中から最適な組み合わせを探すわけです。

この2つはそのまま、「行動ターゲティング」と同一呼称で呼ばれるけれども、イデオロギーのまったく違う2軸に分かれるわけです。「このサイトの履歴を〜」「この検索ワードを〜」と明確に公開できるのを"マニュアルBT"、「データに基づいて最適な〜」と曖昧にしか説明できないのを"ロボBT"と呼びます(造語)。日本ではほとんどマニュアルBTです。主な違いとしてはこんな感じかと。

隠れ層の問題
世の中往々にして、結果からはプロセスが見えない。広告で言えば、特定の変数で効果が良かったとしても、なぜ効果が良かったのかの本当の理由は、実際誰にもわからない。
たとえば、新型インフルエンザの発症者が神戸大阪の男子高校生に偏っているという結果。部活なのかもしれないし、遺伝子的な何かかもしれない。とにかくわからないが、アルゴリズムでは、どんな人が感染しそうかを的確に予測できる、理由はよくわからないが。人間が考え得る区分では、関西の男子高校生でアクティブ、くらいが限度。
翻って、マニュアルBTではマーケティングに通じた人間の経験から絞っていき、それに配信結果に基づいて人間が最適化していくわけですが、ロボBTでは、時として目を疑うようなことを言い出すわけです。今のインフルで言えば、北海道の4歳児が危ない、とか。でも往々にしてそれは正しいわけです、しっかりとした人が組んだゴミの無いアルゴリズムであれば。

労力の問題
広告はリスティングよろしく、細かければ細かくターゲティングするほど効果は良いわけです。ただ、絞り込めば絞り込むほど、配信量は減少していくため、人間には比例して労力がかかってきます。
一方、アルゴリズムでは事前の設定がちゃんとできていれば、あとは比較的容易に、細かく答えを出してくれます。ただし、「オッカムの剃刀」という有名な言葉があるのだが、細かくしすぎると、激しき副作用が。
リスティングに通じた方は、自動運用ツールに対してネガティブな方も多いと思いますが、BTはたくさんの変数(どんなユーザーが?どんな媒体のどんな枠で?とか)を持っているので、結構話は違います。自動運用ツールベンダーにて取得できる変数はすごく限られてる。データマイニングでは、変数はあればあるほど良い。(実際はほとんど捨てちゃうけど)

見えやすさの問題
ロボBTの最大の弱点は、なにやってんだかわかんねぇってところ。米国では有象無象の数百のアドネットワークが「うちはBTやっててさぁ〜」と言っているけれど、たぶんほとんどまともにやってない。しかも情報を公開しないもんだから、広告主としては多いに不安。事実かなり騙されているようだし。で、結果が勝負になって、効果が悪かった場合、情状酌量にはならない。
その点、マニュアルBTはわかりやすいし、営業マンも説明しやすい。

まぁもろもろウォール街的なわけですわね。アルゴリズムによって組成して販売するという。ただ、ウォール街の自滅は、BTを例にすれば、「A社のBTはCPAが5,000円を切れる可能性が高く、B社のBTは7,000円程度だから、これを7:3で配合しよう。さらにこれをZ社に代理販売させよう」的なものが何層にも積み上がって、結局本当の予測値が見えなくなったというところが問題でした。金融商品も、初期商品は良質だったに違いありません。

で、今回の楽天スーパーDBの項目を見て直感的に感じるのは、この変数を人間が選定するのはなかなかに大変だなぁ、と。ただ、今回は業界に対してのわかりやすさを優先してのとりあえずのリリースとなったのでしょう。あれだけのアセットを持っていながら、有益なモデルをデータマイニングから抽出できないはずは無いのですから。

また、今回「行動ターゲティング」という言葉を商品名から外したのは、ちょっと話題になってしまったもうひとつの行動ターゲティング商品との差別化という意味合いとともに、単なる行動履歴だけではないという意味合いも込められているのでしょう。「行動ターゲティング」とは単なるヒトの認識部分を指す言葉ですし、今後は多くの事業者でも総合的な名称になるんじゃないでしょうか、数年後には。

//ディスクロージャーとか//
著者は特定アドネットワーク事業者のなかの人ですが、本内容は所属する企業の意志とは一切関係ありません。