2009/09/07

ad:techで話されなかったネットマーケティングの未来について

今回の東京行幸はヘヴィーでした。ウコンの力 6本、Pricelessってことで。

で、今回の東京行幸のメインイベントでもあるad:techですが、正直残念でした。セッションは、今の課題などの話が中心で、3年先を見据えたような話はほとんど無く。あったとしても、抽象的で形而上な話で。あと、展示スペースは小さく、しかもアクセス解析系はオムニチュアのみ、CRM系の展示も無く。以前行かせてもらったNYでのad:techとはちょっと比べものにならないかも。(NYのad:techでは薩英戦争における薩摩藩のような衝撃を俺にもたらしたんだけどなぁ。鎖国?馬鹿言ってんじゃなかとです、と。)

一番残念だったのが、「生活者ごとのタイムライン」についての言及や展示がひとつもなかったところ。ここは絶対にマーケティングが次の世代に突入する時の核となる部分であるはずなので、ひそひそシコシコ作らば。ふぇっふぇっふぇ。まー来年できるっつー話じゃないけど。

もうひとつ、ターゲティングに関して意思表明が何も無かった。行動ターゲティングの未来について、ターゲティングは精度を上げれば上げるほど消化量が落ちるからダメだ、という論理が存在するわけですが、それは間違ってるとこのところ強く思っており。つまり、今後のターゲティングの大きな流れとしては、興味関心が強いものをいかに正確に抽出するかという方向性ではなく、いかに生活者にとって無駄な広告を届けないかのアプローチだと思うわけですね。金融で言う、格付けの高さ(AAA方向)ではなく、低い格付け(B以下)をいかに正確に行うかという方が重要なのですね。任天堂が優良企業だってことは誰にだってわかることで、金融工学のような数学なんて必要ない、けど絶対数が少ないし、それは周知の事実なので利益を生まない。

で、どうすればいいのかと言えば、センサーを見極めてターゲティングする必要がある。ショップの店員さんは、お客さんの服装系統・服飾価格レベル・語調・訛り・会話内容・雰囲気・目つき・顔立ち・肌・背骨・化粧・髪型・持ち物・同行人といったセンサーからその人の人となりを推測して対応する、そんなことと同機能をアドネットワーク上で提供する。それは過去の行動や今閲覧しているページ情報・状況というセンサーから、その人をうっすらと推測する。

現在主流の"第二世代行動ターゲティング"は、人力で「サイトAの音楽のページを閲覧した人は音楽好きです」などと定義して音楽の広告を配信している。「CDショップに入った人は音楽好きです」みたいなこと(え!?)であり、GReeeeNが好きな人もJUSTICEが好きな人も一緒くたになっちゃってたり。分けられてたとしてもJ-POPと洋楽とか。GReeeeNを好きな人は、たぶん「音楽好き」って胸を張って言うほど音楽好きでは無いだろうし、一般に普通な人としかくくれないはず。JUSTICEを好きな人は音楽好きで、サイバーのりPを見ても「普通じゃね?」って思って、ファッションブランドも想像できる18〜29歳くらいだしょう。

これで重要なのは、JUSTICE好きの音楽のセンスだけじゃなくて、うっすらパーソナリティを浮かび上がらすことができるって部分だと思ってて。よく知らんけど、ポルシェみたいなんとか、モンハンとか、初音ミクとか、PRADAとか、まぁいろいろ"センサー"があって、それぞれにその分野のセンサーなんだけど、ひとくくりにされてしまった後の"ゲーム"みたいな分野情報ってのは意味が無い。脳トレとモンハンのユーザーが高確率でかぶるはずがない。

回りくどいですが、JUSTICEを好きな人に対しては、音楽全般の広告を出すのではなく、エレクトロ系で売れ筋の音楽を推薦すべきなのはもちろんのこと、好む系統のファッションや、年収やライフスタイルに見合ったもの、"やんちゃ"な感じのテイストとか、渋谷近辺の24H営業飲食店のクーポンとか、、まぁわかりやすく言えばそういう広告を出すべきで。そんなルールを人間の手でカテゴリカルな世界に落とし込むのは昔のヤフーのサーチャー以上の人間が必要になる上に精度も悪いのでアルゴリズムで処理することになる。

かつ、生活者の興味関心領域が1個ないしは数個でとどまるはずが無い。俺はもうすぐペルーに行き、エレクトロな音楽が好きで、アクション映画が嫌いで、カフェが好き、インテリアが好き、京都と横浜と東京を行き来していて、釣りが好き、、、と限りなく、それを、より興味が深いものだけに絞り込もうとする行為自体おかしなこと(映画より音楽が好きかなんて決めらんねぇしぃ〜)。だから、AudienceScience(旧RevenueScience)やTACODAの延長上には第三世代の行動ターゲティングは存在しないと思っている。つまり、生活者の定義の方向性ではなく、行動自体のアソシエーションルール(協調フィルタリング)的な方向性です。"生活者(消費者)は多様化している"なんてマーケティングの教科書は10年以上前から書いているのに、生活者をカテゴライズする(クラスタリング系の)アプローチなんて!!

ただ、今のところそれを処理する計算能力が足りない。計算機は進化はし続けるのだけれど、アルゴリズム自体を改良しないと絶対ムリ。敏感なセンサーを勝手に見つけ出して、そこを重点的に処理するようなものでなければ追いつかない。たとえばリンゴ・梨・桃の購買履歴はマーケティングに使えないけど、Domani・Zipper・popteenの購買履歴はマーケティングに使えるってことも、ロボットに判断させなきゃらならい。仮にそういったことが実現できれば、あっちゅう間に世の中が変わるはず、です。

ところで、Amazon.co.jpを開くと、「New for You」「自分の欲しいものリスト」「おすすめ商品」「欲しいものからさらにお気に入りを見つける」「●●のベストセラー」「いまもっともクリックされている商品」「ベストセラー」とあって、商品ページには「よく一緒に購入されている商品」「この商品を買った人はこんな商品も買っています」「この商品を見た後に買っているのは?」「リストマニア」とある。これらの違いと狙いとアルゴリズムの根幹、本気で考えたことありますか?ぼくは、全部考えました。そして、広告もこっちだなって思って、上記のような考えに至ってます。このことについては、暇な時にまたタラタラと長文をエントリーしやうと思ひます。


この記事へのコメント

1. Posted by doumori   2009/10/30 00:37
「いかに生活者にとって無駄な広告を届けないかのアプローチ」。なるほど。大いなるヒントをありがとうございます。