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2014年10月1日を最終出社日として、株式会社マイクロアドを退職しました。(株式会社サイバーエージェントは8月末日付で退職。)

大企業に染まりたくない一心で新卒2年目のNTTコミュニケーションズを飛び出したのが9年前。インテリジェンスから紹介されたサイバーエージェントという会社は、当時近鉄バッファローズ買収を仕掛けていたホリエモンの文脈で出てくるIT系の胡散臭い会社というくらいの認識でした。当時は今のキラキラ系とはちょっと違う、若手がグイグイやってる感じのイメージだったと思う。

そこで配属されたBlogClickプロジェクトは、ビジネスディベロップメント、システム屋、進行管理さん、そして一ヶ月前に入社した営業という事実上4名しかいない、生まれたての部署でした。ここに二人目の営業として入ったのです。入社早々、東大卒ですと自己紹介しろと強制されたり、理不尽に激ヅメされたり、モラルが無かったりと、あまりの前職との違いに戸惑ってはいたものの、このルールの無さはまさに求めていたものでした。ひどいけど、間違ってない。いや、間違ってるけど、これが求めるものでした。形骸化したルールというものが一番嫌いな人間にとって、無法地帯ではあるものの合目的的であるそこは天国であったわけです。

しかし、営業していてやはり気づくわけですね。他社媒体と比べてBlogClickはCPAが10倍くらい悪いと。そこでコンサルティングと称してデータを細かに見ていくと、今度は運用ではどうしようもない、根本の問題だと気づくわけです。むくむくとプロダクト自体を改善したいという思いが強くなって、俺が作ってやると勝手に思いはじめ、勝手に統計学やデータマイニングを勉強したら、後から職種がついてきた。気づけば、今で言う"データサイエンティスト”になっていました。

コンテンツ連動アルゴリズムの改善に始まり、行動ターゲティングのエンジンをリプレース、アドネットワークの広告選択ロジックをリプレース、そしてBLADEの企画から入札最適化エンジンとターゲティングエンジン構築へと、どんどん大掛かりなものになっていきました。BLADEの数字は毎日伸びていきました。竹の子みたいに。

立派に育った竹林をふんふんと眺めていたある日、一転新規事業をやることになりました。キノコを育てることになったようなものです。2013年の冬以降、半年以上BLADEのソースコードには一切触れていないにも関わらず、日々安定的に収益を上げ続けているのを見て、もう卒業だなと考えるようになりました。

いや、それは綺麗に言い過ぎました。本当は、サラリーマンとしての自分の戦闘能力の低さを痛いほど感じるようになったのが、このタイミングで離れる理由です。薄々気づいてはいたものの、サラリーマンとして出世競争を勝ち抜くDNAを持ってないことに33歳にしてはっきり自覚してしまったわけです。

自分の信じるものを作りたいので、まずは独立してみることにしました。データ分析の環境としては、マイクロアドは日本有数の良い環境だと思います。分析環境だけでなく、それをささえるフロント&ミドル&インフラのエンジニア、理解のある経営陣、さらには営業、バックエンドも優秀なプロフェッショナル揃いで、このチームを一からつくり上げるのは途方も無く大変だなと、真っ白な自分の計画を見て呆然としながら思います。しかし、このまま大企業で(能力として劣っている)サラリーマンとして逃げ切るよりも、独立した方が生涯の累計満足は大きいであろうと、リトル・ノグチのアルゴリズムは算出しました。

この9年間は、今までの人生の中で最も濃密で、エキサイティングなものでした。老人になった時に、この時代を誇らしげに語るのではなく、これから始まる時代を誇らしく語れるよう、頑張っていきます。