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カテゴリ:Behavioral Targeting

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インプレスさん発行の『インターネット白書2010』の『行動ターゲティング広告の概要と最新動向』の項に寄稿させていただきました。

びた一文、私の手元には原稿料が入ってこないことを哀れむ方は、以下のアフィリエイトリンクから購入すべきです。

インターネット白書2010インターネット白書2010
著者:インプレスR&D インターネットメディア総合研究所
販売元:インプレスジャパン
発売日:2010-06-17

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世の中的には花見盛りな週末のようですが、また風邪をひいて寝込んでいる今日この頃です。たぶん私の体には何かが足りてません。何かが。
(記事)行動ターゲット型オンライン広告は価格も効果も2倍
(原典)STUDY FINDS BEHAVIORALLY-TARGETED ADS MORE THAN TWICE AS VALUABLE, TWICE AS EFFECTIVE AS NON-TARGETED ONLINE ADS
今週ネット広告界隈をかけめぐった『BT(行動ターゲティング)はCVR2倍だけどCPMも2倍』というデータに、直感的に強烈な違和感を感じたのでしっかり原典を読んでみました。というよりは、「ターゲティングとか結局高いからCPA変わらないし、広告主にとって意味なくね?」という流れが最悪なので。

まず、これを執筆したのはHoward Bealesというジョージ・ワシントン大の准教授で、元々はFTCのプライバシー保護のディレクターという経歴の持ち主。そして、米国のネット広告業界団体であるNAIがスポンサーになって米国の12のアドネットワークから回答を得た調査です。うち、comScoreでのTOP15のうち9つのアドネットワークが含まれています。なお、米国にはNAIとIABの2つのネット広告業界団体がありますが、その経緯は知りません。NAIはプライバシー系、IABは規格やカテゴリの標準化やリサーチをやっているイメージを個人的には持っています。日本では先日社団法人化したJIAAに相当します。

まず、『CVRが2倍』という部分は一人歩きさせてはならない部分だと感じます。これには、2つの問題があります。

ターゲティングはCVRよりもCTRに効くという問題

たとえば、住宅ローンに興味のありそうな生活者だけに配信した場合のCTRは下記のようになります。
  • RON CTR=住宅ローンに興味がありクリックした人÷全ネットユーザー
  • BT CTR=住宅ローンに興味がありクリックした人÷住宅ローンに興味のありそうな人
    ※RON: Run of Network。ランダム配信。
となり、CTRは当然数倍になるでしょう。

一方、CVRはどうでしょうか。
  • RON CVR=住宅ローンの資料請求をした人÷住宅ローンに興味がありクリックした人
  • BT CVR=住宅ローンの資料請求をした人÷住宅ローンに興味がありクリックした人
となり、BTが影響を及ぼすのはCVRに対してではないはずです。リスティングにどっぷり浸かるとCVRに頭が行きますが、世界が違います。リスティングはキーワードがユーザーのインテントを代表しているため、そのインテントごとにコンバージョンする確率が異なるというレイヤーの話ですが、バナーのRONとBTの比較というレイヤーは一段上の話です。Googleのトップページと検索結果画面の両方でのCVRに違いはもちろん出ますが、その数字が仮に2倍だったとして、使えるデータ?ってことです。

統計学的な問題
著者がしつこいくらい、このCVRのデータは少ないから注意してね、と言っていますが、一旦世の中に出てしまえばそのような注意書きは無いも同然になって一人歩きします。

しかも、通常CVRは広告主ごとの平均でも5%から0.05%くらいまで100倍以上の開きがあり、別にそれらの絶対的な数値が良い悪いなんてものはありません。また、CVR平均を使うとしても算術平均ではなく中央値を通常は使うべきじゃないかと思う。また、本来統計データとしてRONとBTは同一広告主の同一キャンペーンでなければなりませんが、おそらく異なる広告主でしょう。QごとのCVR数値のばらつきが大きいのはこの影響もあると思います。

さらに、明確に平均の算出方法が記述されていないためわからないが、アドネットワーク内での平均をさらに平均した数字であると思われるため、ほとんどデータは死んでいると言ってもいい。人間が男女40人のクラスと、チンパンジーが雌雄30頭のクラスと、ダニが雌雄100匹のクラスがあり、各クラス(3)の男女別(2)平均身長の、さらにその6つの数字から男女別平均身長を出した時に、その数字って何か意味あるかい?と。

クライアント単位のデータがまず存在し、CVRを標準化得点なりに変換してスコア化するなり、平均値・中央値・標準偏差・社数くらいを最低限出さないと、世の中に出すべきじゃないと思う。もしくはDIみたいに超単純だけどもっと正しく体現する指標なり。クライアント単位のデータなど、現実運用として不可能だと思うんだけど。CVRの統計的数値に関しては、統計学になじみの薄いマジョリティと合意を形成するのは無理だけれど、逆に専門家は危険性をわかっているのだから出すべきじゃないと思う。少なくとも個人的には誤解を招く危険なデータは上司命令であれ出さない(最近は)。

余談ですが、ネット広告に携わる方々に統計学を学ぶことを推奨するのは、『平均』というものの怖さがわかるからです。このあたりはWeb担さんはたまに特集していますので、ぜひ。

何が言いたいかというと、通常BTではCTRは2倍以上に上がります。CVRは絶対的な指標を出すことは難しいし、このレポートの「2倍」という数字には何の意味も無いと思う。

と、ここまでで想定していた内容の10%にも満たないので、巻きます。
  • リターゲティングのCPMがBTのCPMよりも安いのは、課金体系が区別されてないので何も言えない。一般に、RONと比べてBTはCTR2倍、リタゲは5倍というのが公開されているデータとしては多い。CPC課金はCTRによってCPMが変動します。CPM/CPC/CPA課金を分けていたら非常に有用な情報だったのに。
  • というか、CPMのデータは課金形態別でなければほとんど読者にとって意味をなさない。結果を知れるだけ。
  • 総アドネットワークでのBT売上比率は18%程度
  • BT提供アドネットワーク内でのBT売り上げ占有率平均は41%程度
  • アドネットワークから媒体への支払いコストは売上の55%程度(マージン率というわけではないので注意)
  • アドネットワークからデータプロバイダへの支払いコストは売上の9%程度
  • BTのカテゴリ別データは筆者の指摘通り、無理矢理9つの大カテゴリに振ってしまっている上、サンプル数も少ないだろうし、データとして死んでいる。
  • 基本的に、BTは媒体にも収益増という大きなメリットをもたらしている。
結論ですね、『CVRもCPMも2倍』というコピーは使うべきじゃないと思うわけです。意味は無くはないけど。別に広告主にメリットを見せられる数字でもないし。むしろこのレポートはそれ以外の情報の方がおもしろい。で、ターゲティングは課金方式の違いやクリエイティブといったところとの掛け合わせで最適化すべきなので、2倍!2倍!みたいなものには何の意味もないだろなと思った次第。

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TV画面でPCを使うためにケーブルやらアダプタやらbluetoothキーボード&マウスとか買ってたらいつの間にやら2万円超えていた、俺です。これ、オタクと呼ばれるレベルだよな。本来は会社のPCにリモート接続できるPCを常備しておきたいって目的だったのについつい。。ということで、現在40V液晶を見上げながら書いています。正直疲れます。 

行動ターゲティングのプライバシーについて。日本の生活者が行動ターゲティングによる配信を受けたくない場合、ほとんどの場合、ユーザーが各々のターゲティング事業者のページの中にあるオプトアウトページに行って配信拒否する形式です。日本では行動ターゲティング事業者は数社なのでなんとか手動で拒否していくことができますが、米国の場合は何十社と存在するので一括でオプトアウトすることのできるページが存在しています。

Opt Out of Behavioral Advertising - NAI

これはNAI(Network Advertising Initiative)という業界団体が作っているものです。これに相当する機能は現在日本にはありません。

上記の話はユーザーにとっての利便性の話でした。一方、サイトオーナー側がユーザーに利用している行動ターゲティングを告知しなければならないといった議論があります。ただし、生活者がプライバシーポリシーをサイトごとに確認するのは現実的ではありませんし、サイトオーナー自身が書き出すcookieをすべて把握することも現実的ではありません。(普段使っていないブラウザの)cookieを全削除していくつかの米国のサイトをご覧いただければ驚かれると思います、書き込まれるcookieに対して。

もうひとつ、"Transparency"と米国事業者が呼ぶ概念があります。これは様々な用途で使われますが、生活者に対して使われる際には概ねプライバシーに関する透明性についてです。こうした事業者の当該ページを訪問すると、生活者自身がどのような情報を認識されているかが確認でき、さらに興味関心領域を追加・削除できることも多くなってきています。

上記の話をまとめると、
  1. 国内行動ターゲティング事業者一括管理プラットフォームが必要
  2. 告知義務を媒体ではなく、上記プラットフォームへ
  3. 生活者が確認・管理できる機能を

ということになります。米国ではこうなりつつあるわけですが、これは理想的だと思います。社会問題化するリスクよりは、オプトアウトされる売上減のほうが遥かに小さいでしょうから。

本当に生活者のことを考えるのであれば、現実的に確認するのは難しいけれども"告知をしました"という事実にこだわるよりは、上記のような姿へ日本も業界をあげて近づける必要があると思います。

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生き残るための広告技術 進化したインターネット広告「行動ターゲティング」のすべて生き残るための広告技術 進化したインターネット広告「行動ターゲティング」のすべて
著者:Rob Graham
販売元:翔泳社
発売日:2009-10-06
クチコミを見る

日本では数人かもしれない行動ターゲティングのガチの中の人として、レビューせねばと。日本語タイトルが妙ですが、純粋な行動ターゲティングの本です。

この情報を得るための対価が1900円というのは圧倒的に安いです。俺がいろいろと独自に研究し、試行錯誤して得たノウハウが、2006年には既に英語圏で出版されていたのかと思うと腰が砕けぬる。書いてあることはほとんど正しいし、うちも一緒だし、考えていることも同じだし、BTを販売するひとはこれを読んでお客様に説明すれば間違いは無い(説明会とか資料作成がめんどくさいので情報公開できてないだけで、これらのことはデータでも実証されており)。結局データから出発すると、行き着く先は一緒なんだなぁ。

ただ、決定的に違うのはAudienceScience(旧RevenueScience)方式は行動履歴を人間がアナログに設計するということ。例えば、http://abroad.tour.travel.yahoo.co.jp/を28日間に2回以上訪問した人は海外ツアーに興味がある人である、といったルールを媒体社が人手で事前に用意しておく方式。俺はこの人間が介在する方式にはこういう理由で非常に抵抗感を感じていて、解決策としてここでいうロボBTのような方式を作ったわけです。

AudienceScience方式はどちらかというと媒体社のマネタイズ支援という意味合いが強くて、ただ日本でなぜ媒体支援モデルがほとんどうまくいってないかというと、結局日本語圏のネット人口が多くないからかなぁと思っており。簡単に言えばサイト内の特定ディレクトリを訪問したユーザーは、そのサイトの他の空き枠ページを訪問したときにも広告を出してしまうってことであり、その対象は日本ネットユーザー×当該ディレクトリリーチ率×リピート率×カテゴリ広告主入り状況という式なわけで、超巨大サイトでないと広告メニューとして成り立たず、それってYahoo!しか無いじゃん!ってオチが。だからアドネットワークでしか事実上行動ターゲティングは成り立っていない、という推測。(か、プロバイダーに徹するか。)

そして、最後に佐々木俊尚氏のコラム的な文章があるのだけれど、ここに”セレンディピティ”という、俺の中で旬すぎるワードが出てくるあたり、やっぱり佐々木さんはIT系ジャーナリスト・ライターの中では抜きん出てイケてるよなぁ、と思うた。

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今回の東京行幸はヘヴィーでした。ウコンの力 6本、Pricelessってことで。

で、今回の東京行幸のメインイベントでもあるad:techですが、正直残念でした。セッションは、今の課題などの話が中心で、3年先を見据えたような話はほとんど無く。あったとしても、抽象的で形而上な話で。あと、展示スペースは小さく、しかもアクセス解析系はオムニチュアのみ、CRM系の展示も無く。以前行かせてもらったNYでのad:techとはちょっと比べものにならないかも。(NYのad:techでは薩英戦争における薩摩藩のような衝撃を俺にもたらしたんだけどなぁ。鎖国?馬鹿言ってんじゃなかとです、と。)

一番残念だったのが、「生活者ごとのタイムライン」についての言及や展示がひとつもなかったところ。ここは絶対にマーケティングが次の世代に突入する時の核となる部分であるはずなので、ひそひそシコシコ作らば。ふぇっふぇっふぇ。まー来年できるっつー話じゃないけど。

もうひとつ、ターゲティングに関して意思表明が何も無かった。行動ターゲティングの未来について、ターゲティングは精度を上げれば上げるほど消化量が落ちるからダメだ、という論理が存在するわけですが、それは間違ってるとこのところ強く思っており。つまり、今後のターゲティングの大きな流れとしては、興味関心が強いものをいかに正確に抽出するかという方向性ではなく、いかに生活者にとって無駄な広告を届けないかのアプローチだと思うわけですね。金融で言う、格付けの高さ(AAA方向)ではなく、低い格付け(B以下)をいかに正確に行うかという方が重要なのですね。任天堂が優良企業だってことは誰にだってわかることで、金融工学のような数学なんて必要ない、けど絶対数が少ないし、それは周知の事実なので利益を生まない。

で、どうすればいいのかと言えば、センサーを見極めてターゲティングする必要がある。ショップの店員さんは、お客さんの服装系統・服飾価格レベル・語調・訛り・会話内容・雰囲気・目つき・顔立ち・肌・背骨・化粧・髪型・持ち物・同行人といったセンサーからその人の人となりを推測して対応する、そんなことと同機能をアドネットワーク上で提供する。それは過去の行動や今閲覧しているページ情報・状況というセンサーから、その人をうっすらと推測する。

現在主流の"第二世代行動ターゲティング"は、人力で「サイトAの音楽のページを閲覧した人は音楽好きです」などと定義して音楽の広告を配信している。「CDショップに入った人は音楽好きです」みたいなこと(え!?)であり、GReeeeNが好きな人もJUSTICEが好きな人も一緒くたになっちゃってたり。分けられてたとしてもJ-POPと洋楽とか。GReeeeNを好きな人は、たぶん「音楽好き」って胸を張って言うほど音楽好きでは無いだろうし、一般に普通な人としかくくれないはず。JUSTICEを好きな人は音楽好きで、サイバーのりPを見ても「普通じゃね?」って思って、ファッションブランドも想像できる18〜29歳くらいだしょう。

これで重要なのは、JUSTICE好きの音楽のセンスだけじゃなくて、うっすらパーソナリティを浮かび上がらすことができるって部分だと思ってて。よく知らんけど、ポルシェみたいなんとか、モンハンとか、初音ミクとか、PRADAとか、まぁいろいろ"センサー"があって、それぞれにその分野のセンサーなんだけど、ひとくくりにされてしまった後の"ゲーム"みたいな分野情報ってのは意味が無い。脳トレとモンハンのユーザーが高確率でかぶるはずがない。

回りくどいですが、JUSTICEを好きな人に対しては、音楽全般の広告を出すのではなく、エレクトロ系で売れ筋の音楽を推薦すべきなのはもちろんのこと、好む系統のファッションや、年収やライフスタイルに見合ったもの、"やんちゃ"な感じのテイストとか、渋谷近辺の24H営業飲食店のクーポンとか、、まぁわかりやすく言えばそういう広告を出すべきで。そんなルールを人間の手でカテゴリカルな世界に落とし込むのは昔のヤフーのサーチャー以上の人間が必要になる上に精度も悪いのでアルゴリズムで処理することになる。

かつ、生活者の興味関心領域が1個ないしは数個でとどまるはずが無い。俺はもうすぐペルーに行き、エレクトロな音楽が好きで、アクション映画が嫌いで、カフェが好き、インテリアが好き、京都と横浜と東京を行き来していて、釣りが好き、、、と限りなく、それを、より興味が深いものだけに絞り込もうとする行為自体おかしなこと(映画より音楽が好きかなんて決めらんねぇしぃ〜)。だから、AudienceScience(旧RevenueScience)やTACODAの延長上には第三世代の行動ターゲティングは存在しないと思っている。つまり、生活者の定義の方向性ではなく、行動自体のアソシエーションルール(協調フィルタリング)的な方向性です。"生活者(消費者)は多様化している"なんてマーケティングの教科書は10年以上前から書いているのに、生活者をカテゴライズする(クラスタリング系の)アプローチなんて!!

ただ、今のところそれを処理する計算能力が足りない。計算機は進化はし続けるのだけれど、アルゴリズム自体を改良しないと絶対ムリ。敏感なセンサーを勝手に見つけ出して、そこを重点的に処理するようなものでなければ追いつかない。たとえばリンゴ・梨・桃の購買履歴はマーケティングに使えないけど、Domani・Zipper・popteenの購買履歴はマーケティングに使えるってことも、ロボットに判断させなきゃらならい。仮にそういったことが実現できれば、あっちゅう間に世の中が変わるはず、です。

ところで、Amazon.co.jpを開くと、「New for You」「自分の欲しいものリスト」「おすすめ商品」「欲しいものからさらにお気に入りを見つける」「●●のベストセラー」「いまもっともクリックされている商品」「ベストセラー」とあって、商品ページには「よく一緒に購入されている商品」「この商品を買った人はこんな商品も買っています」「この商品を見た後に買っているのは?」「リストマニア」とある。これらの違いと狙いとアルゴリズムの根幹、本気で考えたことありますか?ぼくは、全部考えました。そして、広告もこっちだなって思って、上記のような考えに至ってます。このことについては、暇な時にまたタラタラと長文をエントリーしやうと思ひます。

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ちょうど今日書こうと思ってた内容に近いことが、AMNの徳力氏タカヒロ氏にて書かれてたので、あたくしは”ユーザーを分母にしようぜ"ロジックにて。

最近つくづく、CTR, CVR, CPAってダメな指標だなぁって思ってまして。
CTR = クリック数 / インプレッション数
CVR = CV数 / クリック数
CPA = 支払ったお金 / CV数
ここにはユーザーという視点が無いわけで。ダイレクトメール(DM)やインバウンドをはじめとするダイレクトマーケティングの世界では、ユーザーが分母なのが一般的(だと思っている)。10人に1回づつ電話して1人が来店予約するのと、2人に5回づつ電話して1人が来店予約するの、これが一緒の扱いになるってことありえないっすよね。これがネットの世界では常識になってしまっている。

なんてことを言うと、「すでにリーチマックス系のテクノロジーがある」「フリークエンシーキャップがある」といったような反論がありそうですが、今のフリークエンシーキャップは非常に稚拙な仕組みだし、リーチが多けりゃいいわけでなくて、反応のあるリーチはどんなユーザー傾向だったかが見えないといけない。ダイレクトマーケティング業界や金融業界でのCRM的アプローチに比べると、実にイケてない。時系列がもっと考慮されねば。タイミング。データマイニングの世界では生存分析という手法があるのだが、この考え方を学ぶと、少し世界が変わるかもしれない。

CTRはターゲットユーザーと反応ユーザーのセンサーとなる測定手法に、
CVRは反応ユーザーとアクションユーザーのセンサーとなる測定手法に、
CPAはアクションユーザーを分母にした上でポートフォリオ的な考え方に、ならないといけない。

顧客名簿が件数で販売されるDM業界と、CPMやCPCで販売されるネット業界だからこういうふうに進化が分かれたのだろうか。ネット業界は、CPMやCPCという、ユーザーと結びつかない妙な課金体系のレイヤーが存在するので、ポートフォリオにして変換をかけないといけないのdeath。

ポジショントークにしか聞こえないかもしれないけど、つまりはリスティングは過大評価されてる。今やGoogle Analyticsで新規訪問者とリピーターの区別をつけた上でいろいろ分析できるようになっている。期間をMAXにしたときに、"効果の良い検索ワード"から来るユーザーは...「広告」が本当に機能していることが見えるんじゃないかと思う。

まー、あーだーこーだ言ってないで、こういうメトリックスプラットフォームを早く作んないといけないっすね、我々が。。

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風邪をひいたわけですけれども。けっこう流行ってます、普通の風邪。静養中につきこんな美しい青空の中、暇です。

基本的に将来に対する不安というのはほとんど持っていないわけですけれども、唯一漠然とした不安を感じるのが風邪をひいたとき。「深く考えられない」「簡単な問題が解けない」「集中力がなくなる」といった症状が出てくるわけで、脳がすべての仕事をしているともう帰るしかないわけです、いくら時間かけても意味ないし。で、年齢を重ねるごとにきっと常にこういう状態になるのだと思うと、俺はこのままこの道を進んでいて大丈夫なのか、と一抹の不安がよぎったりするわけですね。とはいえ俺にはサムライ道しかないだろうなぁという結論、毎度。

楽天、マーケティングデータベース「楽天スーパーDB」を活用した広告の配信を開始

楽天さんが、「楽天行動ターゲティング」をリニューアルして「楽天スーパーDBターゲティング広告」へ。下記のカテゴリ(データマイニングの世界で言えば「変数」)が加わっています。

◇ターゲティングカテゴリ一覧
(従来より展開)
1、年齢
2、性別
3、地域
4、商品閲覧履歴 

(新しく追加されたカテゴリ)
5、商品購買履歴
6、楽天会員ランク
7、楽天スーパーポイント
8、特性
9、ライフステージ
10、楽天グループ利用履歴
11、年収
12、未既婚
13、住居形態
14、保有携帯キャリア


4月頃にリリースされていた内容と変わっていなければ、これらのカテゴリは人間が手動で選択するものです。たとえば、「花」カテゴリを閲覧した壮年女性に配信します、といった感じで。

一方、データマイニング側からのアプローチを行っている行動ターゲティングでは、これらのカテゴリの選定はアルゴリズム(ロボット・人工知能)が行います。データに基づいて、カテゴリ間の膨大な組み合わせの中から最適な組み合わせを探すわけです。

この2つはそのまま、「行動ターゲティング」と同一呼称で呼ばれるけれども、イデオロギーのまったく違う2軸に分かれるわけです。「このサイトの履歴を〜」「この検索ワードを〜」と明確に公開できるのを"マニュアルBT"、「データに基づいて最適な〜」と曖昧にしか説明できないのを"ロボBT"と呼びます(造語)。日本ではほとんどマニュアルBTです。主な違いとしてはこんな感じかと。

隠れ層の問題
世の中往々にして、結果からはプロセスが見えない。広告で言えば、特定の変数で効果が良かったとしても、なぜ効果が良かったのかの本当の理由は、実際誰にもわからない。
たとえば、新型インフルエンザの発症者が神戸大阪の男子高校生に偏っているという結果。部活なのかもしれないし、遺伝子的な何かかもしれない。とにかくわからないが、アルゴリズムでは、どんな人が感染しそうかを的確に予測できる、理由はよくわからないが。人間が考え得る区分では、関西の男子高校生でアクティブ、くらいが限度。
翻って、マニュアルBTではマーケティングに通じた人間の経験から絞っていき、それに配信結果に基づいて人間が最適化していくわけですが、ロボBTでは、時として目を疑うようなことを言い出すわけです。今のインフルで言えば、北海道の4歳児が危ない、とか。でも往々にしてそれは正しいわけです、しっかりとした人が組んだゴミの無いアルゴリズムであれば。

労力の問題
広告はリスティングよろしく、細かければ細かくターゲティングするほど効果は良いわけです。ただ、絞り込めば絞り込むほど、配信量は減少していくため、人間には比例して労力がかかってきます。
一方、アルゴリズムでは事前の設定がちゃんとできていれば、あとは比較的容易に、細かく答えを出してくれます。ただし、「オッカムの剃刀」という有名な言葉があるのだが、細かくしすぎると、激しき副作用が。
リスティングに通じた方は、自動運用ツールに対してネガティブな方も多いと思いますが、BTはたくさんの変数(どんなユーザーが?どんな媒体のどんな枠で?とか)を持っているので、結構話は違います。自動運用ツールベンダーにて取得できる変数はすごく限られてる。データマイニングでは、変数はあればあるほど良い。(実際はほとんど捨てちゃうけど)

見えやすさの問題
ロボBTの最大の弱点は、なにやってんだかわかんねぇってところ。米国では有象無象の数百のアドネットワークが「うちはBTやっててさぁ〜」と言っているけれど、たぶんほとんどまともにやってない。しかも情報を公開しないもんだから、広告主としては多いに不安。事実かなり騙されているようだし。で、結果が勝負になって、効果が悪かった場合、情状酌量にはならない。
その点、マニュアルBTはわかりやすいし、営業マンも説明しやすい。

まぁもろもろウォール街的なわけですわね。アルゴリズムによって組成して販売するという。ただ、ウォール街の自滅は、BTを例にすれば、「A社のBTはCPAが5,000円を切れる可能性が高く、B社のBTは7,000円程度だから、これを7:3で配合しよう。さらにこれをZ社に代理販売させよう」的なものが何層にも積み上がって、結局本当の予測値が見えなくなったというところが問題でした。金融商品も、初期商品は良質だったに違いありません。

で、今回の楽天スーパーDBの項目を見て直感的に感じるのは、この変数を人間が選定するのはなかなかに大変だなぁ、と。ただ、今回は業界に対してのわかりやすさを優先してのとりあえずのリリースとなったのでしょう。あれだけのアセットを持っていながら、有益なモデルをデータマイニングから抽出できないはずは無いのですから。

また、今回「行動ターゲティング」という言葉を商品名から外したのは、ちょっと話題になってしまったもうひとつの行動ターゲティング商品との差別化という意味合いとともに、単なる行動履歴だけではないという意味合いも込められているのでしょう。「行動ターゲティング」とは単なるヒトの認識部分を指す言葉ですし、今後は多くの事業者でも総合的な名称になるんじゃないでしょうか、数年後には。

//ディスクロージャーとか//
著者は特定アドネットワーク事業者のなかの人ですが、本内容は所属する企業の意志とは一切関係ありません。

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