Wolfram|AlphaとBingが提携。そして数学。
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MSの検索エンジンBing、Wolfram|Alphaとライセンシング契約を締結
Wolfram|Alphaは通常の検索エンジンと異なり、検索キーワードに関連するページへのリンク一覧は返さない。その代わりに、株価や複雑な数式といった質問に対する答えを提供する。
ごく一部で話題のWolfram|Alphaですが、MSのBingの検索結果に取り入れられるようです。Wolfram|Alphaが適しているごく一部のクエリの時だけポコっと出てくる感じだと思いますが。
Google創業者も気にしていると伝わるWolfram|Alphaは、なんといっても数学的アプローチによるものだから注目さるる。Web上のデータをまとめてデータマイニングし、そこから答えを持っているであろうページに人間を送り出す既存の検索エンジンとはまったく違うアプローチ。この話は、Webマーケティングにも通ずる道だと思っていて。というのは、行動ターゲティングやその他各種のオプティマイザーを含めて、過去の結果から予測するアプローチなのだけれど、数学的アプローチの場合はまったく違う。要素同士を掛け合わせて答えを出すというかなんというか。PhotoshopのドットとIllustratorのベジエの違いにも近い感覚。
データマイニング的アプローチでは、広告配信のCPAを基準とした場合、どんな媒体の・どのページで・どの枠で・どんなユーザーが・どんなクリエイティブで・どんなランディングページで・何曜日に・何時に・何回目のフリークエンシーで・・・といったところのデータで最適化していく。一方、数学的に行くと、もっと奥底から引っ張り出す。ここは自分でもまだ仮説すら立てられてないんだけど、人間の思考・行動パターンからするとこうなる、というのが計算で出せるんじゃないかと。広告ごとの実績ベースじゃなくて。つまり、何故その場合効果が良かったのかを理解した上で最適化するという。たとえば、世田谷区と甲府は地理的には近いけれど、住む人の思考方法も気候も年収も職業も何もかもまるで違う。むしろ世田谷区からは遠い大阪の方が近いはず。仮に甲府の広告効果が良かったら、良かった理由を様々な角度から分析される、人口動態的なとこも含め。ってなところも、実績ベース+数学でできるんじゃないかなぁ、と。でも、計算量が膨大になりすぎて今だと到底無理だし、結局ニューロンを再現しないとダメじゃんってことになって無理かもしれないけど、ある程度近似するものはいつかできるんじゃないかなぁと思ってて。
そんな世界がきたら、SASやSPSSで簡単に扱えるようなデータマイニング的手法、つまり機械学習系の流れってマーケティングの世界ではダメじゃんってなりかねないなぁと、結構思っているわけです。ソフトウェアではKXENは数学的なアプローチだと謳っているけど、ほんとのとこよくわからんし、深い層での数学ではないと思う。おそらく内部処理の話かと。(少なくとも伝統的データマイニング派の俺からすると、プロセスが見えないのってかなりつらい。ゴミが見えないので間違ったまま進んでしまう。)
擬似人間を作ろうという人工知能の研究が廃れたのも、既存のアプローチの延長で研究を進めても、到底人間は作れないことが誰の目にも明らかになったから。月に行くためにハシゴを作ろうとするのと一緒で。たとえば蜂っぽいなんらかの虫の画像インプットがあった場合、蜂と羽蟻と虻の全種類を事前にインプットして持っておいて引っ張り出すのは限界なので、「黄色系と黒系のしましまで、羽を持った2cm以上の昆虫は毒を持っている可能性があるので注意すべし」とかいう判断をできる人工知能でないと、いかんのよね。今の技術ではこれすら到底できないと思うけど。で、結局擬似人間ではなく、何らかの業務に特化した人工知能分野(データマイニング)だけが発達した、という歴史。
Wolfram|Alphaと既存検索エンジンロジックに関して言えば、クエリ(目的)に応じて使い分けられるべきだし、どっちかが駆逐するなんてことはないというのはみんな言ってるとおりだと思う。試験に暗記問題と考える問題があるのと一緒で。
まぁ、いずれにせよ、いつかマーケティング界の革命は起きると思う、俺の目が黒いうちに。なーんてことを、商学部出身、数A数Iでリタイヤした人間が月を眺めながらブログ投稿ボタンを押すのです。