Bubble
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2010年代前半のアドテクが過度の期待にあったことなんて、中の人間たちにはダンスの最中にもわかっていて、周囲のよくわかっていない人たちが油を注ぎ込んで燃やし尽くしてしまったというのがグローバルの状況だと思う。日本はそもそも、そこまで大きなバブルにならなかったと思うけど。
さて、ジオロジック社はと言いますと、いろいろな外部要因もあり注目される機会も増え、大きく成長しました。「位置情報広告といえばGeoLogic」と言っていただける機会も増えました。ただ、成長痛は節々にきていて、積み残した課題は山ほどあります。2019年の学びは「スタートアップはスケジュールとリソース計画は何が何でも合致させなければならない」ということでした。もう少し具体的に言うと、自分が過度にダウンサイドリスクを恐れたために開発リソースが不足してリリーススケジュールが遅れ、ビジネス拡大スピードにシステムが追いつけず、会社全体を疲弊させてしまったことです。
幸い、2019年の10月には新システムがリリースされて業務は激変し、徐々に血の巡りは良くなってきました。年末は本当に、ハリウッド映画のエンディングのような大団円で収まりました。これを書いている今も、過去最高の案件数が回っており、リリースがあと数週間遅れていたら年末年始はどうなっていただろうと考えると、判断に伴う責任というものを痛感せざるをえません。
本来スタートアップは、そういうことにならないように多額の資金を調達して、十分なリソースを確保するものだと思うわけですが、幾多のバブルを見続けてきた経験が、それを阻害するわけで。「あの会社はこういう状況でアクセル踏み間違えて消えていったよな」みたいな記憶が囁くのです。今、スタートアップ投資が加熱し、20代の起業家たちがぐいぐい攻めるのを横目に見ながら、化石じじぃはどう生き抜くべきか、思案する今日この頃です。
来たる2020年代のアドテクは、2010年代とはまるで違うものになると思っています。ただ、(それを「アドテク」と呼ぶのかは別として)RTBプロトコルの上で受発注される取引形態はしばらく続き、出力デバイスはPC・スマホを飛び出し、その上のレイヤーは信じられないくらいの進化を遂げると思っています。文書間のリンクのためのものだったHTML/Webがとんでもない世界を生み出してしまったのと同様に、アドネットワークの効率的な出し分けのためのものだったRTBがマーケティングの世界をも変えるんじゃないかと思っています。アドテク死すともRTBは死せず。RTBは楽しい。本当に楽しいよ。
結びを考えずに書き始めたわけですが、やはり常軌を逸したRTBオチを、2010年代の結びとさせていただきます。