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品質管理のためのカイゼン入門 (日経文庫)品質管理のためのカイゼン入門 (日経文庫)
著者:山田 秀
販売元:日本経済新聞社
発売日:2006-02
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大学の頃に『カイゼン』や『QCサークル』は勉強し、去年頃に『6σ(シックスシグマ)』は少し調べたんだけど、ちょっとあらためてこの領域を復習してみた。

この本はカイゼンの超入門書。2日で読める、ほんとに。この本を読んだだけでは自らの業務改善にはそこまでつながらないが、自分が今後どこを強化していくべきかがわかるはず。そして、なぜ統計学の基礎を学ばなければならないか、その理由もわかるはず。どう業務に活かすのかがわからないと、業務と学問とのデスバレーは埋まらない。(この本を読んでもその感覚がわからなければ違う方向性を目指すべきかもしれない。。)

『カイゼン』という言葉を聞くと製造業が連想されますが、これはウェブ業界においても十分機能するはず、いやむしろ我々にはログや管理システムの類があるので、製造業よりもよっぽど手がけやすく、効果的なはずである。なのに、カイゼンに成功した類の話はとんと聞かない。きっと、これまでは業界自体が赤ん坊から青年まで成長を続けていたため、カイゼン活動が軽視されてきたんだろう。米国で勃興した自動車産業がしばらくは成長を続けたが、QCサークル&カイゼン活動を積み重ねた日本が高品質のクルマを製造し追い抜いたように、ウェブ業界でもこの先勝敗を決するのはカイゼン活動じゃなかろうか。一発狙いする人は一発狙いをしていただくとして。どんな理由であれ、トヨタ販売台数2008年世界一はうれしい。

『カイゼン』は、地道な作業が良いとかそういう日本的な美意識とは実はぜんぜん違うのである。言い換えれば、全体に影響を与えないような小さな改善活動なんてやってる暇あったら、もっと効果的な部分やろうぜ、と。徹底的にデータを収集し、データによって論理的に判断する。正しい統計処理で思い込みを排除する。(データっつうのは、○○白書とかの類ではない。自社で収集できるあらゆる事象である。営業フローだって対象範囲。)

本当に強い組織は、なかよし組織よりも、多くのメンバーがカイゼンの教育を受けている組織、そしてデータで判断できる組織だろう。正しい指標のデータを正しく集めて、正しく判断することが重要なので、これらの勉強せずに「データ集めて判断しました!」では大半が間違うしデータを集めた時間の方が無駄だ、と俺は経験的に思う。

とはいえ勉強した人は教育する稼動が取られるし部門越えるといろいろ面倒だから音頭とりたくないという囚人のジレンマ。(まぁ俺も絶対やりたくない。)そこで出てくるのがコンサルなんだろう。最近ようやくコンサルの意味がわかってきた。業界ごとの業務に精通したコンサルは、確かに価値がある。だけど、普通の会社じゃコンサルお願いする余裕なんてあるわけもないから、窓際の管理職が徹底的に勉強してやればいいのだ。背水の陣のミッション振って。フローの洗い出しによって部下の仕事を(初めて!?)把握できることにもなるし、ロジカルシンキングの教育にもなる。

本書に関して言えば、効果検証の部分のボリュームがもうちょっと欲しかった気が。個人的にはAHPで取るべき戦略を評価するって点は新しい気付きでした。いずれにせよ、筆者も言っている通り、次に自分の読む本を選定するための本です。

自己啓発本読んで、3日しか持たないエナジーを充填する繰り返しの人は、カイゼンの勉強がオススメである。