《連載》ネット広告エコシステム
第一回:Ad Exchange(アドエクスチェンジ)とは
第二回:DSP(Demand-Side Platform)とは
第三回:Yield Optimizationとは
第四回:RTB(Real-Time Bidding)とは
第五回:Data Exchanger(データエクスチェンジャー)とは

本日はネット広告エコシステム連載(?)の第二回目、DSP(Demand-Side Platform;デマンドサイドプラットフォーム)について。こちらで突然DSPが記事になった上に、日本語のDSP情報ってまだWeb上に存在していないので、今日もせっせとSEO。

Demand-Side Platformを直訳すると「需要側プラットフォーム」。経済の需要と供給で言うところの、需要側が広告主側で、供給側が媒体側。俺は「広告主最適化ツール」とかいつも呼んでますが。誤解を恐れずに言ってしまえば、リスティングの自動入札ツールのバナー版。(ちなみに自動入札ツールベンダーのEfficient Frontierとかもつい最近DSPに参入している。)

DSPが叫ばれ始めたのはまさに今年から。前提として、米国でのAd Exchangeの普及があります。Ad Exchangeの普及なくしてDSPの普及なし。米国ではnon-premiumな枠、主要サイトの実に99%とも言われたりしますが、Ad Exchangeで買えます。AdSense枠もDoubleClick Ad Exchangeで買える。

さて、なぜDSPが必要とされたかですが、複数の要因があります。
  1. 複数のAd Exchangeが存在しているので一括管理したい
    RightMedia, DoubleClick, AdECN, OpenX, AdBrite, etc.
  2. 複数の行動履歴ベンダーのデータをまとめて扱いたい
    閲覧履歴からデモグラ情報からオフライン履歴まで多ソースを一元管理。
  3. 入札価格を最適化したい
    「このユーザーの2FQ目は$0.1で買う」とか手動での入札じゃ無理だし、配信結果を受けての最適化も手動じゃ無理。
  4. RTB(Real Time Bidding)を行いたい
    半端なシステムじゃぁRTBに耐えられないから。
    しかも秋刀魚一尾づつ(1impづつ)にオッチャンは入札できないヨ。
  5. 不適切な媒体を除外したい
    Ad Exchangeには限りなく黒に近いグレーが存在。
  6. 最適な予算管理のため
  7. 効果測定を一元的に行いたい
リスティングであればリスティング担当者が手動で運用したり、これまでの純広告であればアカウントプランナーが手動でExcelで効果検証したりしていましたが、メディア数が膨大になり、さらにオーディエンスデータまで絡んでくると人間にはお手上げです。極めて少ない変数で明快に説明できるリスティングとは異なり、ディスプレイ広告の世界は変数があまりに多いためです。Excel的世界での運用は無理なのです。月に梯子をかけるプロジェクトのようなもので。ただ、ポートフォリオ理論はリスティングですら計算量がハンパ無いはずなので、機械学習系だろうなぁっていう話は長くなるので割愛。

c0164470_16221880そして、DSPのようなソリューションを提供する企業がどんどん産まれると、起こることとしては誰でもアドネットワークをビルディングできちゃうじゃんという話で。米国では代理店などがどんどんDSP化してきています。これまでの世界はアドネットワークがリーチを競ってきたわけですが、これが徐々に変わってきているわけです。(まぁ俺が昼間作る資料はリーチ!リーチ!っていっつも書いてますけどね。)

で、俺もGoogleはどこかのDSPを買収するとは思っていて、ただその理由は広告主へのソリューションであって、特にそれ以外の狙いは無いと思っているのだけれど。また無料で開放しちゃうんじゃないかなぁ、UrchinをAnalyticsにしちゃったみたいに。そしたらGoogle AdWordsにまずバジェット入れて、そっからすべてが始まるって世界になるのだもの。AdWords管理画面が広告主のコクピットに。とはいえ実態は代理店ツールになるのだとは思うけれど。

やれやれ。