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風邪で朦朧としてますが、RTB(Real-Time Bidding)をさらに浸透させる記事が海の向こうでは次々と上がっているので紹介をば。
Instant Ads Set the Pace on the Web - NYTimes
私にとっての神ことMike氏も大きな写真で紹介されていて、「ようやくこの記事で母ちゃんにも俺の仕事を理解してもらえそうだぜ」っていうのも納得なわかりやすいRTBの紹介記事。DSPであるAppNexusと広告主であるeBayの取り組みについて。

eBayでゴルフクラブをちょうど検索した男がいる。すぐにeBayは彼の行動を捕捉し、Webを通じていつどこでパーソナライズした広告を表示させるかを決定する。もしeBayが彼が他のサイトでドライバーを買ったことがわかったら、すぐにゴルフボールかゴルフのホームと呼ばれるアンドリュー山のパッケージツアーの広告を表示し始めるようにアップデートする。もし女性がショッピングをしたなら、eBayは広告の色や見た目を変えることができた。

以前はebayはアドネットワークやAd Exchangeでの広告購入をブロックしていたが、AppNexusのシステムを使うことで今では顧客は個々のオファーを受け、eBayはその値打ちがある。

これはこの人の直近30分での51回目であり、私はこのインプレッションを買うべきではない。なぜならばクリックする見込みのある人はもっとこの数は少ないからだ。
変な直訳の日本語を気にせずに進みますが、単なるバラマキのリターゲティングとは違い、行動履歴×会員情報を基にした、もはやこれはCRMなわけです。しかもリアルタイムな。
The New Real-Time Bidding - rightmediablog.com
その記事に呼応してすかさずRightMediaがブログをエントリーしましたが、また彼らは「ワレワレハRTBをやっている」と言っています。一般的な"RTB"は彼らが記事内で"newer version of RTB"と呼んでいるものの方で、現行のシステムはいわゆる"RTB"ではありません。また、Buyers/Sellers/Consumersそれぞれにとってのメリットを上げていますが、基本的にはこのRTBの記事と同じですが、よりレスポンスの速さに説明の重点を置いてますね。見解としては「RTBは全ネット広告プロセスを通じた改善に対して不可欠なステップだが、業界全体に渡って現実になるまでの道のりは長い。RTB提供者は同じではなく、求められるインフラも違う。RTBに引き続き注目してね。」って感じだそうで。

旧型システムで巨大になると、新しい時代への対応はどうしても遅れるジレンマ。巨大隕石の衝突。RightMediaがどうRTBに対処していくのかは注目です。ちなみにRTBにすでに対応しているのはGoogle Ad Exchange, OpenX Market, AdBrite, Yield Optimizer各社で、現在構築中なのがRightMedia, AdECN(MSFT)です。
Google Gains Traction in Display-Ad Push - WSJ
一方こちらはThe Wall Street Journal(のキャッシュ)。検索ではYahoo!がGoogleにシェアを奪われたが、RightMediaの旧型システムのままではディスプレイ広告でもその運命か!?でもYahoo!枠はマストバイだぜチェキラ!っていうリードがあるよとか。Googleのリサーチで、同枠でアドネットワークやその他第三者で配信するよりも収益が130%以上高かった結果が出たということとか。

さて。これまで婉曲な表現でいろいろ言ってきたんですが、このブログへのアクセスが代理店・レップの方々ばかりで、お伝えしたい方々に伝わらないようなので、もうちょっと。

これまでのアドネットワークビジネスには、媒体ネットワーク構築という技術では超えられない壁がありました(参照:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド)。唯一超えられるのは政治力だけです。それが無くなるということです。

Ad Exchangeエコシステムの中で戦うために必要なのは、下記のいずれか。
  1. データマイニング(頭)+DWH(データ処理システム)
  2. データ(ビジネス環境)
ちなみに私の会社では全部揃いつつあります。ハンパなく増強しています。サイト内レコメンドだけに日本の頭脳を使うのはもったいないです。データを埋もれた宝にしておいてはもったいないです。

たとえば人類の叡智の詰まった金融工学は、市場があるからこそ成り立ちます。マーケティング領域のデータマイニングも同様です。デプロイする領域が広告主サイト内ではほとんどマネタイズできません。広告は、大きなお金が動きます。その市場が出来上がろうとしています。

こうやってわざわざ競合を増やすような「出てこいや」発言をするのも、競合が増えるのは良いことだからです。プレーヤーの増加が結果的に媒体のYield向上につながり、ディスプレイ広告の成長につながるからです。どこぞの業界のように斜陽産業にしてはいけません。