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New Reports: AdWords Search Funnels
AdWords Search Funnels are a set of reports describing the ad click and impression behavior on Google.com that leads up to a conversion.
Googleが、AdWordsでのコンバージョンユーザーの過去の検索ワード等を追うことのできるAdWords Search Funnelsを発表しました。現在の機能だけではサマリされ過ぎているので興味深いってだけで、次の施策にはほとんどつなげられないと思うのだけれど、とてつもなく興奮しています。なぜならばこれは生活者の態度変容をかなり的確に表現するものだからです。ということで、何度でも同じことをブログに書きます。またかと思うかもしれませんが、何度でも。

4319012152_4ab81ca405_m現在のAdWords Search Funnelsでは把握できないけれど、本当に知りたいのは、例えば商品カテゴリワードから特定ブランドや型番に検索ワードが変わったその間に生活者に一体に何が起こったのかということ。そこで彼はオンライン/オフラインを通じて一体何に接触したのか。AdWords Search Funnelsに他のデータがインテグレーションされることで、一気に価値が爆発します。このエントリーの結論を言えば、態度変容させた媒介者は何だったのかを明らかにし、そこに企業の予算が最適化されるべきということです。それが"広告"じゃないとしても。

AIDMAであれAISASであれDAGMARであれいいのですが、ステップをもう少し細分化して、生活者が次のステップに進んだことを測定し、その間の行動を把握する。購入(acquisition)しなくとも、ブランド認識・ブランド想起・ブランド好意・購買検討っていうようなステップを。計算機の進化がこのまま続けば、これは検索ワードだけでなく訪問ページでも強固に把握できるようになります。

そして、本当に態度変容させたコンテンツや広告に対して対価を支払う世界にしたいのです。コンテンツは、広告やユーザー課金以外の、第三の収益化手段があると信じています。仮にそれが事前のペイドコンテンツでも構わないと思います、情報が正しければ。もちろんPPPは問題外ですが。アフィリエイトcookieをたくさん踏ませたり、タイアップで広告主担当者の満足を得るようなものとは根本的に違うものを。態度変容させたことに対して報酬を与えるような世界に。

最近新しいクレジットカードを申し込みました。関西に来てからというもの、成田で待ち時間がたくさんあるし空港ラウンジを使いたいなぁとなんとなく思っていて、クレジットカード比較サイトや解説サイトなどで情報を収集し、その中で「プライオリティパス」というサービスがすげぇ良さそうというのを知り、プライオリティパス無料権付きのカードを申し込むに至りました。アフィリエイトのリンクは複数サイトで複数ASPの複数カード会社のをたくさん踏みました。でもきっと支払いは一社だけに絞られるのだと思います。(申込フォームがFlashで文字化けしてブラウザ変えてオーガニック検索からカード会社に入ったから実際はゼロカウント。)これだけ有益な情報を提供してくれたたくさんのサイトに感謝したいし、広告費も流れて欲しいと思ったけど、実際はほとんどのサイトにはゼロ円の報酬。同じ頃、メガポータルはHMC(ハイパーメディアクリエイター)の嫁のコンテンツで発生したPVでCPM報酬を得ていました。

広告として、CPA課金は明らかに行き過ぎです。CPA課金は広告というよりも小売りに近い。わかりやすい単純な指標があったばっかりにここまで堕ちてしまいました。CPC課金までは正しいと思います、長くなるので割愛しますが。広告のCPA課金に替わる、正しい指標のメジャメントができる仕組みを作らなければなりません。

こんな話をしていると「広告のポストインプレッション効果を正確に測定しようよ」なんて話になるかもしれませんが、バナーのポストインプレッション効果なるものが存在するとは思っていません。バナーのポストインプレッション効果を主張する方はネット広告界に浸かりすぎて、生活者が見えづらくなってしまっているのかもしれません。日米通じてポストインプレッション効果をデータで証明しているデータがいくつか出回っていますが、ほぼすべては裏にターゲティングという変数の潜んだ疑似相関であり、因果ですらないように見受けられます。バナーを見て気になったけどクリックせずに後日何かを申し込んだことは、少なくともこれまでの私の人生では一度もありません。甲子園球場のスタンドにキューピーのロゴが掲載されていたからといってキューピーマヨネーズを買ったわけじゃないです。

この領域で別に米国が進んでいるわけでもなくて勝手に一人で言ってるだけなんですが、広告業界は広告の測定にとらわれすぎている気がします。MicrosoftのEngagement Mappingも広告にフォーカスしたものです。私がWiMAXをちょっと欲しいなぁと思っているのは、広告の影響ではなくてニュース記事です。そして、ペイドも含めたブログの影響です。

米国のQuantcastは今後態度変容を追える可能性のあるプレーヤーかもしれません、わかりませんけど。私は今は行動ターゲティングを作っていますが、態度変容課金のためのメトリクスがライフワークのひとつだと思っています。(もうひとつは様々なものの価格を最適化する市場を作ることですが。)今回のAdWords Search Funnelsは態度変容把握のための第一歩だと思います。

行動ターゲティングに時間軸を。クリエイティブにCRMを。広告枠からコンテンツへ。ネットからリアルへ。まだまだ道のりは長いです。